ウルトラセブン・アンヌ隊員と特撮のDNA

[ 2020年9月15日 09:30 ]

展覧会「特撮のDNA―ウルトラマン Genealogy」に展示されているアンヌの隊員服など(C)円谷プロ(C)特撮のDNA製作委員会
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 【牧 元一の孤人焦点】子供の頃は見過ごしていた価値に大人になって気づくことがある。特撮ドラマ「ウルトラセブン」はその最たる例だ。

 1967年から68年までの放送当時はテレビで漠然と楽しんでいたが、成人してDVDで見直し、記者として制作の円谷プロダクションに関する取材をする中で、いかにウルトラセブンが優れた作品だったかということを痛感した。

 少年時代に素通りしていた魅力のひとつにウルトラ警備隊の友里アンヌ隊員の存在がある。かわいく、艶っぽく、視覚的インパクトが強い。しかし、当時は自分が幼すぎて、女優の菱見百合子(現・ひし美ゆり子)が演じていることさえ認識していなかった。

 放送から約30年を経てアンヌに関する書籍、ひし美の書籍が次々と出版された。手元にあるのは、写真集「アンヌへの手紙。」(97年)、単行本「セブン セブン セブン わたしの恋人ウルトラセブン」(同年)、フォトエッセー「隊員服を脱いだ私」(2002年)、文庫本「万華鏡の女 女優ひし美ゆり子」(11年出版の単行本を今年1月に文庫化)の4冊。出版物の数の多さはアンヌとひし美の根強い人気のあかしに違いない。

 現在開催中の展覧会「特撮のDNA―ウルトラマン Genealogy」(東京ドームシティ Gallery AaMo)で、アンヌの隊員服を見ることができる。ひし美が当時の撮影で実際に着用していたオリジナルだ。

 50年以上前の衣服としては良好な状態で、ほとんど劣化が見られない。関係者によると、展覧会の開催に当たり、収蔵家が所有していたものを借用したという。ウルトラセブンは、前作のウルトラマンに比べて高い年齢層を意識して制作したとされるが、この隊員服にも大人向けのシックなセンスがうかがえる。

 この展覧会は一般の写真撮影が可能。アンヌの隊員服だけではなく、ウルトラQの撮影で使用されたミニチュアや、ウルトラマンでハヤタ(黒部進)が着用していた隊員服など、レアな品々が並んでおり、マニアが熱心にカメラに収める姿が目立つ。

 アンヌの隊員服を見ていて、ひし美の初着用時のエピソードを思い出した。当初、アンヌ役は女優の豊浦美子に決まっていたが、映画出演のため降板。急きょ起用された、ひし美が隊員服を着用してみたところ、豊浦の体のサイズに合わせて作られていたため、胸のあたりが窮屈だった。ひし美は脇の下の黒いジャバラの部分をこっそり切って使用。結果的に、そのきつめのフィット感がアンヌのルックスをより魅力的にした。

 アンヌはもともと、ウルトラQやウルトラマンなどを企画した脚本家の金城哲夫さんのアイデアだった。金城さんが好きだった女優の真理アンヌをイメージしていたとされるが、例えば真理や豊浦がこの役を演じていたらどうだっただろう…。やはり、この隊員服が最も似合うのは、ひし美かもしれない。

 ひし美は73歳になった今も元気だ。13日に放送されたNHK・BSプレミアムの特番「4Kで進化するウルトラセブン」に出演するなど、アンヌを演じた女優としての活動を続けている。いつか話をうかがう機会があるといい。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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