笑福亭鶴光 恒例ラジオ特番は「オールナイトニッポンと同じノリ」

[ 2020年6月10日 12:15 ]

ニッポン放送「笑福亭鶴光の噂のゴールデンリクエスト」のスタジオで笑顔を見せる田中美和子(左)と笑福亭鶴光(右)
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 【牧 元一の孤人焦点】ニッポン放送「鶴光の噂のゴールデンリクエスト」(9日から12日までの4夜連続生放送)のスタジオにお邪魔した。

 落語家の笑福亭鶴光とフリーアナウンサーの田中美和子がコンビを組む恒例特番。本番開始直前、生放送の緊張感があるかと思いきや、緩やかで明るいムードが漂っている。スタジオのドアは感染防止対策で開けっ放し。鶴光は副調整室に集まるスタッフに「そっち、密になってるで!」と笑いながら声をかける。

 本番が始まれば、例によって下ネタまじりの軽妙なトークがさく裂。電話でリスナーに歌ってもらう「××(チョメチョメ)しながら歌ウマ選手権」というコーナーでは、女性リスナーに深呼吸してもらい、「えーか?えーか?えーのんか?」と、おはこのツッコミを入れたりもする。

 なんとも気楽な番組だ。あまりの気楽さに思わず笑ってしまう。周りを見渡せばスタッフも笑っている。世の中は自粛ムードいっぱいで日々つらいことも多いが、浮世離れした鶴光のトークを聞いていると、しばし現実を忘れる。

 子供の頃に好きでよく聞いていた「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」(1974年~85年)から長い年月が経過したが、ラジオの鶴光は昔も今も全く同じ印象だ。

 「全然変化ないですよ。変化をつけようがない。リスナーは僕に変化を求めてない」。生放送終了後、鶴光に話を聞くと、そんな言葉が返ってきた。「本当、不思議なのは、ラジオを聞いている人から何のクレームも来ないことですね。聞いている人は50代、60代が多いんでしょうけど、オールナイトニッポンの時と同じノリです」。

 生放送中、面白かったのは、鶴光がトークに熱中する中で何度か立ち上がったこと。アシスタントの田中美和子からは「やめなさい、立ち上がるのは!」とツッコまれていた。ラジオはテレビと違って何かアクションを起こしてもリスナーには見えない。なぜ、わざわざ立ち上がるのか、不思議に思えた。

 「僕の基本はボディーランゲージなんですよ。できれば、スタジオ中を縦横無尽に動き回りたい。『やめなさい、立ち上がるのは!』と言われれば、聞いている人は『スタジオはいったいどうなっているんだろう…?』と想像する。ラジオの面白いところは、リスナーが想像力を働かせられること」

 なるほど、立ち上がるのもラジオ芸の一つなのだ。田中は「放送業界素人だった私が初めてご一緒させて頂いたのが師匠でしたが、番組から離れた時、目の前で『一番素晴らしい芸』を見てきたのだと分かりました。師匠は唯一無二だと思います」と語る。

 鶴光は笑顔でこう話す。「この番組から学べることは何もないですよ。ここで政治や思想を語ってもしょうがない。意見を言っても意味がない。番組が終わったら『ああ、おもろかった』で、ええんちゃうか」。

 確かに、いつも誰かが何かの問題について雄弁に語るのを聞きたいわけではない。常識的なことばかりでは肩が凝る。大変な時ほど、一息つきたい。笑福亭鶴光という存在のかけがえのなさを実感する今日この頃だ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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