ニッポン放送から流れる笑福亭鶴光の声に癒やされる

[ 2020年4月23日 14:00 ]

ニッポン放送のスタジオで感染防止策のアクリル板に囲まれながら「鶴光の噂のゴールデンリクエスト」を生放送する田中美和子(左)と笑福亭鶴光(右)
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 【牧 元一の孤人焦点】この人の声を聞くと癒やされる。癒やされるような声?と疑問に思う人も多いだろうが、私にとっては子供の頃から聞き慣れている声で、懐かしく、緩やかな気分になる。現在のように、誰もが先を見通せない、厳しい社会情勢の時なら、なおさらだ。

 落語家の笑福亭鶴光がニッポン放送「鶴光の噂のゴールデンリクエスト」(今月20日~24日の5夜連続生放送)に出演中。フリーアナウンサーの田中美和子とコンビを組み、リスナーからの歌のリクエストに応えながら、軽妙なトークを繰り広げている。

 鶴光と言えば、1974年から85年まで放送された「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」。私がよく聞いたのは小学校の高学年から中学生にかけてで、土曜の深夜、両親が寝静まった後、自室にこもり、1人でひっそりと楽しんだものだった。子供心に、鶴光が発する艶っぽいトークが刺激的で、特にムード満点の「ミッドナイトストーリー」という深夜ラジオならではのコーナーが印象に残っている。

 「噂のゴールデンリクエスト」ではこの「ミッドナイトストーリー」を再現。鶴光が番組の終盤で、ゴールデンタイムとしては異色のお色気たっぷりの声でコーナーを盛り上げている。外出自粛で陰鬱(いんうつ)な空気が漂う中、一服の清涼剤のようなおもむきがあり、ネットにも「待ってました!」「ニヤニヤが止まらない」など、歓迎の言葉が並んだ。

 スタジオのコロナウイルス感染拡大防止策は万全。鶴光とアシスタントの田中美和子の間には透明のアクリル板が設置され、さらに壁には紫外線照射殺菌装置「エアロシールド」が取り付けられている。厳戒態勢下での癒やしムードたっぷりの生放送。鶴光はリスナーに「在宅中のあなたに笑顔になっていただいて、免疫力をつけていただきたい」と語りかける。

 2011年の東日本大震災の際、ラジオは人々の生活に寄り添い、力を発揮した。今度の厳しい局面でも、ラジオが私たちを励ましてくれるに違いない。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在はNHKなど放送局を担当。

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2020年4月23日のニュース