「役者」岡村隆史の目 健さんの男気、今も焼き付く スランプ時に励ましの手紙と本

[ 2019年11月17日 11:00 ]

支えてくれた高倉健さんの魂軽傷をと意気込む岡村隆史(撮影・長久保 豊)
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 【俺の顔】ナインティナインの岡村隆史(49)は、俳優としても華々しい実績を残している。主演はもちろん、数シーンだけの出演でも強烈なインパクトを与えてきた印象が強い。「お笑いをやっているから呼んでもらえる」と謙虚な姿勢を崩さず、96年の初主演映画「岸和田少年愚連隊」は原点回帰のため「今でも1年に1回は見る」という。役者として活動する上で、大きな支えになっているのが高倉健さんの存在だった。

 映画への入り口は「最悪でした」と振り返る。お笑いユニット「吉本印天然素材」として東京に進出し、日本テレビ「ぐるぐるナインティナイン」などレギュラー番組も持って上昇気流に乗っていた時期にオファーを受けたのが大阪の不良少年を描いた「岸和田少年愚連隊」だった。

 「バラエティーをやらせてもらっている割に、自分の中であまり結果が残せていない。このままやったら人気先行で終わってまうんやないかというくらいの気持ちがあったので、映画なんか撮っている場合ちゃうと思ってマネジャーにやりませんと。ほんなら、偉いさんに直接言うてくださいとなったんです」

 こうして持たれた吉本興業幹部との面談は、出演が前提で話が進んだためギャラ交渉でアップを勝ち取って妥協。だが、撮影前に井筒和幸監督(66)が求めたリハーサルは断り、撮影も東京での収録を終えてバスでロケ地入りする強行軍を繰り返し、時には大阪で朝まで飲んで酔ったままタクシーで岸和田に向かうこともあったという。

 「だから、台本も全部読んでいないんですよ。自分が出るところのセリフだけパパッと見てという感じ。でも、撮っているうちになんか面白いなと思い始めたんです。殴り合いのシーンで、井筒さんが撮っている時に“おらあ~”言うて体動かしているのを見て、この人楽しそうやなと。それで出来上がったものを見た時に、めっちゃ面白かったんです。井筒さんは今でこそ笑って言いますけれど、当時ははらわた煮えくり返っていたと思いますよ」

 続く99年の単独主演作「無問題」は、日本アカデミー賞の話題賞を受賞。翌00年の授賞式で、健さんと運命的な出会いを果たす。受賞スピーチで「高倉さんのような俳優になりたい」とボケたが、周囲は失笑。完全にスベッたところ、健さんが立ち上がって拍手を送ってくれたのだ。

 「一緒にお仕事しましょう、と言っていただいたんです。そんなことないやろと思っていたんですけれど、一緒にお仕事するんやったら映画に出ていないとダメというのがありました。だから映画のお仕事をいただいたらほぼ即答でやりますと言うてました」

 だが、10年「てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~」の頃に思うようにセリフが出てこないなど極度のスランプに陥る。体調を崩して約半年の休養を余儀なくされたが、その際も健さんから激励の手紙と一冊の本が届いた。

 「もうキャパオーバーでした。それで休んでいる時に健さんから、僕は心を静める時にこの一文を読むんだと。武道の達人の方の本なんですけれど、その一文に赤線が引いてあったんです。ほんま、まさかですよね」

 そして12年、健さん主演の「あなたへ」で待望のお声が掛かる。健さんが立ち寄ったお好み焼き店にいた阪神ファンの男という役どころで、1シーンだけだが改めてその偉大さを目の当たりにした。

 「健さんが僕の楽屋に来はって、スタジオに行く時も肩組んで“吉本なんか、いつ辞めてもいいんだぞ”って言わはるんですよ。顔も見られなくて肩を外した時にチラッと見るくらい。“六甲おろし”を歌うだけやのにガチガチやったんですけれど、テストで分かったんでしょうね。テストが終わったら、健さんが“いい芝居するだろ”って周りに言うたんですよ。そんなわけないのに、それで現場のピリッとした空気がフワッと和んだんです。凄い人やなあ。つくられたスーパースターはいっぱいいると思うんですけれど、ホンマのスーパースターがおんねやって思いましたね」

 「四十七人の刺客」で健さんが大石内蔵助を演じた、忠臣蔵の世界をテーマにした「決算!忠臣蔵」(22日公開)が時代劇初挑戦だったことも導かれたものかもしれない。その健さんイズムは継承しているのだろうか。

 「健さんみたいなお芝居はできないですけれど、映画に出ていたら健さんが見てくれるんちゃうかなという思いはあります。忠臣蔵も見てくださいって言えたかも分からないですね。だから現場では座らないと極力心がけています。そこだけ高倉健スタイルですと言うてマネしています。でも、長時間やとしんどいです」
 冗談めかしたが、俳優・岡村隆史の表情は喜びに満ちていた。

 《堤真一と西川きよしらに感謝》「決算!忠臣蔵」は、赤穂藩の吉良邸討ち入りを予算面から捉えた異色の時代劇。岡村は、堤真一(55)扮する内蔵助の幼なじみで勘定方の矢頭長助を演じている。「やっぱり役者さんって凄いなあと思って見ていました。笑えるシーンも、ほんまは自分が引っ張らなあかんのに堤さんに引っ張ってもらいました」と感謝する。西川きよし(73)ら吉本の先輩も多く出演しており「きよし師匠は自由で、監督の言うこと全然聞かへんから面白かったですね。それで緊張がほぐれた部分もありました」と笑っていた。    

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