シュワちゃん最新作 世界一のアクション俳優が70歳で新境地

[ 2017年8月27日 15:15 ]

アーノルド・シュワルツェネッガー最新作「アフターマス」
Photo By 提供写真

 米カリフォルニア州の前知事で映画俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー(70)が主演を務める最新映画「アフターマス」(監督エリオット・レスター)が、9月16日に日本で公開される。“世界一のアクションスター”、シュワルツェネッガーが、今作では新たな役柄に挑戦。歳月を重ねた名優ならではの重厚な魅力に引き込まれた。

 飛行機事故で妻と娘を失った主人公・ローマン(シュワルツェネッガー)が復讐のために事故の真相に迫るヒューマンドラマ。家族を失って2年、失意のローマンだったが、事故に大きく関わっていた航空管制官・ジェイク(スクート・マクネイリー)の存在を知る。最愛の2人を死に追いやったものは何だったのか…ローマンはジェイクに近づき、物語は思わぬ展開へと動いていく。

 作品では、飛行機事故の技術的な背景や原因についてほとんど語られない。むしろ家族を失ったローマンがやり場のない怒りを感じながら事故の関係者たちに近づいていく様子、事故を起こしてしまったジェイクが家族や職場から虐げられ、やがて心身が衰弱していく姿などが交互に、淡々と描かれていく。一貫して暗い色彩が連続する画面ではあるが、そこで静かな存在感を放つのがシュワルツェネッガーの演技である。「ターミネーター」シリーズをはじめ、かつて世界中の人々を魅了してきた屈強な男とは百八十度違い、アクションシーンは皆無。往年の姿をイメージするファンにとっては戸惑いすら感じるかもしれない。

 この役柄にたどり着くまでにいくつかの挑戦があった。2013年の主演復帰作「ラストスタンド」(監督キム・ジウン)では、年齢を感じさせない派手なアクションと同時に、円熟味のあるリーダーも演じられることを証明した。さらに14年「マギー」(監督ヘンリー・ホブソン)ではアクションをほぼ封印して娘を愛し守るために奮闘する父親役を演じた。映画の興行としては成功したとは言い難いが、役者としての新たな引き出しができたといえる作品が続いた。

 今作も「マギー」同様“老いた男の苦悩”というアプローチでの演技が光る。ハリウッド界で肉体派俳優として確固たる地位を築き、そして長い年月を経てたどり着いた役者としての新境地…。かつて「I’ll be back」を約束した男は、進化した姿になって戻ってきた。必見である。

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