阿部寛 仕事もお金もない逆境からの再起 億単位の借金を約20年かけ完済

[ 2017年1月24日 11:05 ]

夢中論 阿部寛(下)

インタビューに答える阿部寛
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 俳優デビューから30年を迎えた阿部寛(52)。映画やドラマに引っ張りだこの人気者を支えているのは“理系脳”だ。セリフ覚えや役づくりは効率を考え、カメラワークも計算。浮き沈みがあった俳優人生でも、自分なりの公式を見つけ、解を導き出してきた。今、60歳を見据え、新たな役を開拓しようと戦略を練っている。

 役者としては“引き算”が身を助けた。1メートル89の長身は、共演者とのバランスが取れず敬遠されることも多かった。そこで実践したのが、自分を小さく見せる方法。カメラから距離を取ってみたり、主役でも共演者より後ろに立つ、または座る。長身の俳優の自伝を読んで研究した。「身長が高いことで本当に苦労しましたが、いろいろやってみたら、画面で自分の存在感が半分くらいになった。ちゃんと考えて工夫する。そうやって仕事を拾っていきました」

) しかし、どんなに計算しても、計画通りに進まないのが人生。87年に人気モデルから俳優に転身したが、3年で話題性がなくなり仕事が激減。バブル期の不動産投資に失敗して億単位の借金も背負った。

 仕事もお金もない逆境。「やりたくない濡れ場みたいな仕事もあったけど、イメージとか言ってられる場合じゃなかった。自分はこんなこともできるんだということを見せるプロモーションだと考え方を変えたんです」

 その“割り切り”が奏功。イケメンモデルの殻を脱ぎ捨て、がむしゃらに出演作を重ねていくうちに、シリアスもコメディーも演じられる役者へと成長。約20年かけて借金も完済した。

 「追い込まれてやっているうちにいろんな役をいただけるようになった。これは自分の特権の一つ。だから、いただいた役はほとんど断らずにやろうと思っています」

 俳優生活30年。目下の課題は60歳になるまでの仕事との向き合い方だ。

 「あっという間に60歳になる。それまでにあと何本、どういう仕事をしようかと戦略を考えることが今は趣味です。50歳を過ぎると20代の役はとうてい無理だけど、人がやってないことを開拓しても面白い。背が高いことを逆に武器にしてやってきたから、今度は年齢をどこまで武器にできるかも遊んでみたい」

 具体的な構想はない。これまでも映画「テルマエ・ロマエ」の古代ローマ人など突き抜けた役が飛び込んできた。「いつも、とんでもない課題が向こうから来る。“何でこんなのを俺に”っていう面白い仕事を待ってます」。役柄との“かけ算”が生み出す意外性を自身が楽しみ、見る人の心をつかんでいる。

 どん底を経験した苦労人だからこそ、生涯現役を胸に誓っている。「30代や40代よりも欲張りたい。仕事だけじゃなく、本を読んだり名監督の映画を見返したり、新たにいろいろなものを持って60歳を迎えられたらいいなと思っています」。この貪欲さが正解=成功を導くカギ。これから広がる可能性も計り知れない。

 ◆阿部 寛(あべ・ひろし)1964年(昭39)6月22日、神奈川県出身の52歳。83年に「ノンノボーイフレンド大賞」で優勝し、雑誌「メンズノンノ」の創刊から3年半表紙を飾る。87年に映画「はいからさんが通る」で俳優デビュー。93年のつかこうへい氏の舞台「熱海殺人事件」で評価され、テレビ朝日のドラマ「トリック」シリーズがヒット。08年「歩いても 歩いても」「青い鳥」で毎日映画コンクール男優主演賞、12年「テルマエ・ロマエ」などでブルーリボン賞主演男優賞を受賞。来年公開の日中合作映画「空海 KU―KAI」にも出演。1メートル89、75キロ。血液型A。

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