「カルテット」も好演 高橋一生が重宝されるワケ「存在感があるのに、ない」

[ 2017年1月24日 12:30 ]

「カルテット」も好演が光る高橋一生(C)TBS
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 俳優の高橋一生(36)がTBS「カルテット」(火曜後10・00)にレギュラー出演。今クールも見る者の心を鷲づかみにしている。近年、話題作から引く手あまた。制作者はなぜ高橋を使いたがるのか。同局「99・9―刑事専門弁護士―」などを手掛けた今作の佐野亜裕美プロデューサーに起用理由、魅力とともに聞いた。

 長野・軽井沢にある別荘で一冬の共同生活を送り、弦楽四重奏のカルテットを組む30代男女4人を描くラブストーリー。高橋のほか、松たか子(39)満島ひかり(31)松田龍平(33)と中堅きっての実力派4人が顔を揃えた。「Mother」「Woman」「最高の離婚」などで知られる人間ドラマの名手・坂元裕二氏(49)によるオリジナル脚本。4人それぞれが秘密を抱えるサスペンス要素に加え、コメディー要素もある濃密な時間が展開される。

 高橋の起用理由について、佐野氏は「メーンのキャスティングは基本的にすべて、脚本の坂元さんと一緒に考えています。根本的な考え方は『自分がその人の芝居を観たいかどうか』です。自分が『こんなドラマを観たい』と思うものを作っているので、重要な要素であるキャスティングの考え方も同様です。高橋さんは、まさにそこで坂元さんと合致しました」と説明。

 高橋は日本テレビ「Woman」やフジテレビ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」などの坂元作品に起用されており、世界観を理解する1人。佐野氏は「今回の役で言うと“めんどくさいけど愛すべき人”という、ある意味、高橋さんのスイートスポットな役だと思うので、過剰に期待しています」とした。

 高橋の魅力については「ドラマのスパイスでありながらコンダクターであるところ」と表現。「シーンがいつの間にか高橋さんの作るリズムでうねり始める瞬間を日々目の当たりにしています。そして現場ではキャスト、スタッフ誰に対しても、びっくりするほどフラットです。気さくさも、丁寧さも、全員に対して平等です。これはなかなかできないことだなと思います」と撮影現場の様子を明かした。

 昨年だけでも、テレビドラマはフジテレビ「いつ恋」「僕のヤバい妻」「私に運命の恋なんてありえないって思ってた」、テレビ朝日「民王スペシャル〜新たなる陰謀〜」「民王スピンオフ〜恋する総裁選〜」「グ・ラ・メ!〜総理の料理番」、NHK BSプレミアム「プリンセスメゾン」など。映画は大ヒット作「シン・ゴジラ」、舞台は故蜷川幸雄さんが演出した「元禄港歌―千年の恋の森―」、チケット争奪戦になった「レディエント・バーミン」と途切れることなく出演した。

 テレビ東京「怪奇大家族」(04年)フジテレビ「医龍2」(07年)スタジオジブリのアニメ映画「耳をすませば」(1995年)の声優など、以前から視聴者に印象を残していたが、14年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」やフジ月9「信長協奏曲」を経て、15年にテレビ朝日「民王」の秘書・貝原茂平役が評判を呼び、スピンオフが制作されるなど、本格的にブレークした。

 高橋が制作者から重宝される理由について、佐野氏は「1つは、ものすごく存在感があるのに、ないところかな、と思います」と分析。「高橋さんのこれまでの出演作を見ると『え?あの役を高橋さんがやっていたんですか?』というものがいくつもあります。でも、その役のことはとても印象に残っている、という不思議な感覚です。“ただそこにいる”お芝居も、“そこにいることを主張する”お芝居も両方できる、本当に稀有な役者さんだなと思います」と絶賛した。

 今回の「カルテット」出演に際して高橋にインタビューしたが「もっと反比例していきたいんですよね。あの役を演じたのは高橋一生と言われるじゃないですか。そうなること(役と高橋一生が結び付くこと)をどんどん離していきたいんです。どうしても『高橋一生が演じた』というバイアスがかかるので、あの役を演じたのは高橋一生だっけ?と言われたいんですね。それぐらい僕は自分のこと無個性だと思っているので。もっともっと役に隠れていたいです」とコメントしたことと合致。制作者も舌を巻く演技力で、視聴者を魅了し続ける。

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2017年1月24日のニュース