真田丸秘話“家康”内野聖陽が見た“幸村”堺雅人「受け芝居の名手、稀有な役者」

[ 2016年12月20日 10:00 ]

視聴者を魅了した幸村役の堺雅人(左)と家康役の内野聖陽。「真田丸」では芝居をこよなく愛する者たちの様々な化学反応が起こった(C)NHK
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 18日に最終回を迎えたNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で主役・真田幸村最大の敵、徳川家康を力演した俳優の内野聖陽(48)。家康と幸村の関係を自身の解釈で振り返り、1年間“座長”を務めた堺雅人(43)について「受け芝居の名手、稀有(けう)な役者」と語った。

◆大大名と田舎侍の差を演技で意識「対等に向かい合ってはいけないと」

 今作では脚本を手掛ける三谷幸喜氏(55)が描いた大名の風格と気の弱さを併せ持つ「新しい家康像」が注目を集めた。「(落人狩りに遭う)伊賀越えの場面も手探りだった。すると三谷さんから『最高だ!』とメールがきた。こういう感じの家康を求めてられていたのかと思った。実は天下なんかさらさら狙っていなくて、乱世を生き延びられればそれでいい。一族の安寧のみを考えていたら、いつの間にか偉大になってしまっていた人物」と自身の解釈を明かす。

 最終回、大坂夏の陣で徳川と豊臣の戦いもクライマックスへ。昌幸(草刈正雄)、幸村と父子2代に渡り苦しめられてきた真田家に対して内野は「家康は大大名。真田は信州の田舎侍でしかない。敵だが対等に向かい合ってはいけないと自分自身を戒めて演じた。真田と真っ向勝負になっちゃうと家康が小さく見えてしまう。常に心掛けたのは“信濃の田舎侍だが面倒くさいヤツら”。喉に引っかかった小骨みたいな存在として捉えていた」という。

◆家康の幸村への思いは「聡明な若者に恋したような感覚」

 物語のラストまで対峙する幸村については「恋に落ちている感じがあったと思う。第34話『挙兵』で幸村をリクルートしようとした場面があった。“徳川に来い”と誘うも断られ、フラれた気持ちになりましたね。フラれたからこそ腹が立つ、恨みが少し残ることってあるじゃないですか。息子というよりは、聡明な若者に恋したような感覚。最後の方には『ワシをフリおって』みたいな気持ちもあったと思う」と独特な表現で家康との関係性を説明する。

 07年の大河「風林火山」では山本勘助役として主演を務め、今作では最大のライバル役として主役の堺を盛り立てた。芝居への情熱が人一倍強い内野が独自の視点で“座長”堺の印象を語る。

 「彼は博士ですね。博士、教授、学者という感じ。非常に研究熱心で、物事を多面的に考える人。一つの例ですが、幸村が馬上で十文字槍(やり)を振りかざす場面があり、撮影現場で練習していた。長い時間やっているので、何をやっているのかなと見ていたら『十文字の槍だから十文字である必然性を出したいのです』と。十文字でうまく引っ掛けてやる殺陣をしたいがどうすればいい?と殺陣師や監督と議論していた。確かにそうだなあと妙に納得しました。研究熱心だなと思いました」

 「歴代の大河の中でも一番受けの芝居が要求された主役だったのでは。それも凄い。普通、主役だと“俺がやらなくちゃ!”と思うが、彼はそういうのがなくて、むしろ相手の人が喜んでいるのを見てニコニコしているような人。受け芝居の名手だなと。豊臣とのやり取りでも柔らかく受ける。その感覚機能の多さ、俺にはできないと思った。彼は稀有な役者さんだなと思いました」と評した。

 芝居をこよなく愛する者たちの様々な化学反応が起こった「真田丸」。視聴者を魅了し続けた1年間だった。

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