フジ「ENGEI」の本気度 “芸人が一番出たい番組”と評判のワケ

[ 2016年9月25日 12:18 ]

気になる兄弟コンビ「ミキ」

 「花王名人劇場」の横山やすし・西川きよしに、「THE MANZAI」のツービート、B&B、島田紳助・松本竜介…。「漫才っておもろいなあ」と感じたのは、1980年代のはじめだった。その頃から8チャンネルはお笑いのイメージである。ブラウン管を通じて、マイク1本で笑わせる文化を日本中に広めたと言える。

 フジテレビが仕掛ける「ENGEIグランドスラム」は、その系譜を受け継ぐ。先日放送された250分スペシャルには30組が出演し、平均視聴率12・8%で、瞬間最高は17・9%(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)。最近のフジのゴールデン帯では高視聴率である。漫才1本ではなく、コントあり、音を使ったネタあり、とバラエティーにとんだ構成。豪華な寄席といったところだ。大トリは三遊亭円楽の「猫の皿」。地上波ということもあってか、観客にやさしく、落語はどうやって聞いたらよいのか、という説明まで盛り込み、分かりやすい噺で盛り上げた。

 同局の藪木健太郎チーフプロデューサーは「古典落語をラインナップすることは賭けでした。でも番組を続けて行く上で幅が必要だった。どこかで落語家さんにも出演してほしいと考えていました。本物の芸人が本気で前のめりになって渾身のネタを適正な尺で披露することに照らして、円楽師匠に来ていただくことが最適だと考えた」。息の長い番組にするためにもスケールアップを図った形である。

 M―1グランプリに端を発した2000年代初頭のお笑いブームはショートネタが好まれる傾向にあった。短かければ1分以内ということもあった。当時のテレビ局関係者は「長いネタだと視聴者の集中力がもたない」と説明していた。「ENGEI」は、それと逆行する形を取っている。円楽が10分、中川家、テンダラーらの漫才は5分前後、河本準一らのコントユニットは9分と、時間の制約はあまりない。中堅クラスの劇場出番は10分~15分だが、できるだけ寄席でやるような本芸の雰囲気に近づけている。10年ほど前は「テレビでのネタ時間が短すぎる」との不満の声も芸人から多く上がっていたが、彼らにとってもやりやすい環境だ。

 「お客さんが温かくてネタがやりやすい。会場セットも2階席があって、なんばグランド花月を意識して作っている。緊張感よりも楽しいにつきます。収録も出番が終わったら帰っていい。劇場の香盤表と同じなんですよ。あまりにウケるから、いつから、こんな人気者になったんやろと錯覚しますね。今、芸人が一番出たい番組とちゃいますか」とは出演者の1人。爆笑に気をよくした芸人は、ほぼ“どや顔”で舞台から下りてくるという。

 漫才師の西川のりおは80年代の漫才ブームの時、「いかにして前のヤツより笑いを取るかにかけた。なんやったら皆スベれと祈っていた」と話したことがあった。全員若手でしのぎを削っていただけに、当時のライバル心が強烈なものだったのは想像に難くない。ENGEIはすでに名前が売れたメンバーだけに、そこは楽しむ余裕があるのだろう。

 今回、気になったのは芸歴5年目の兄弟コンビ「ミキ」だ。27時間テレビのトーナメントで勝ち上がって出場権を得た。ネタも普遍的なテーマを扱っており、老若男女にウケるタイプ。ここら辺りが「どうにかのし上がろう」と裏ではギラギラしてくると面白い。特番を続けるなら、入れ替え新人枠がいくつかできると、さらに盛り上がるのではないか。そんなことを考える。(記者コラム)

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