「ワイドナショー」発言がニュース 決めすぎない演出で自由な議論

[ 2016年4月10日 08:00 ]

「ワイドナショー」のレギュラーコメンテーターを務めるダウンタウンの松本人志

 ダウンタウンの松本人志(52)がレギュラーコメンテーターを務めるフジテレビ「ワイドナショー」(日曜前10・00)が日曜朝に引っ越して、この4月で丸2年を迎えた。今年2月14日には番組歴代最高視聴率11・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録するなど、フジの“日曜朝の顔”として定着。総合演出を務める竹内誠氏は「コメンテーターの発言そのものがニュース」と好調の要因を分析し、自由な議論を生む番組の雰囲気づくりについて明かした。

 番組は、松本のほか、通常ゲストコメンテーターが3人。普段、ワイドショーに取り上げられることはあっても、コメンテーターとしては出演しない人が芸能ニュースや時事問題について、じっくりと持論を展開。従来のワイドショーとは一線を画すスタイルが好評で、その発言は毎週、インターネットニュースになるほど。MCの東野幸治(48)が絶妙なタクトを振るい、コメンテーターの熱弁を引き出す。

 2013年10月に“真夜中のワイドショー”(月曜深夜0・35)と銘打ち、スタート。半年後の14年4月、31年半続いた「笑っていいとも!増刊号」(日曜前10・00)の後枠に移行した。

 好調の要因について、竹内氏は「ネタ(番組で取り上げるニュース)のチョイスよりも、コメンテーターの発言そのものがニュースとして注目されていると思います」と分析。スタート当初の深夜時代に「(番組で取り上げる)ニュースの量が大事なのかな?と思ったんですが、コメンテーターがしゃべっていることがニュースだということに気付いたんです」。日曜朝に引っ越し、前番組のアニメ「ワンピース」(日曜前9・30)からノーCMで「ワイドナショー」につながるが「頭は子供にウケるニュースから入った方がいいのか、悩みました。しかし、やっぱり皆さんがしゃべっていることがニュースだと改めて分かって、迷わなくなりました」と軸はブレない。

 だからこそ、演出で最も気を付けることは、コメンテーターが話しやすい環境づくり。「雰囲気づくりは簡単そうで簡単じゃないんですよ。ただニコニコ笑っている、雰囲気のいいスタッフだけじゃ、できません。やっぱり『このチームだったら、ここしゃべっても、ちゃんと編集・放送してくれる』という長年の信頼関係があるからこそ、コメンテーターの皆さんが『また出たい』とおっしゃってくれると思うんですよね。その空気づくりが演出です」と説明した後「若いディレクターからしたら『楽な演出だなぁ』と思われるかもしれないですが、時代の変化も僕なりに感じていて」とテーマは演出論・演出術に広がった。

 竹内氏は、ふた昔前のテレビの良さが今、必要だと感じている。ふた昔前とは「オレたちひょうきん族」(81~89年)や「FNSテレビ夢列島」(87~91年)の頃で「台本やセリフを決めすぎなかった」。そこから台本やセリフをカチッと決める時代を経て「僕は今、改めて『決めすぎない』のがおもしろいと思っていて。カチッと決める時代を経験したことで『決めすぎないけど、実は決めている』というところが、今の時代に合っているのかなというふうに思うんですよね」。ふた昔前の感覚を肌で知る松本や東野がいることで「ワイドナショー」の議論は自由闊達に行われている。

 「例えると、演出の仕事はリングを作ることだと思うんですよ。ボクシングはリングという制限があるから、おもしろいわけで。1キロ四方のリングや1メートル四方のリングだったら、全然おもしろくないですよね。いかに心地よい広さのリングを作るか。リングの広さの絶妙さを追求するのが演出家冥利だと思うんですよね。ふた昔前のテレビの良さが加わった『ワイドナショー』は、あのボクサー(コメンテーター)たちが戦うリングとしては、気持ちのいい大きさになっていると思っています」

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