サブちゃん妻手記 紅白初出場の時は8畳一間で質素に 50回偉業「誇りに思う」

[ 2014年1月1日 11:08 ]

北島三郎と雅子夫人

北島三郎 紅白引退

(12月31日 東京・NHKホール)
 【北嶋三郎妻・雅子さん手記】寂しくないといえばウソになります。「紅白でサブちゃんの歌が聴けなくなるのは寂しい」というお電話もたくさんの方からいただきました。

 紅白から一線を引く考えを聞いたのは2011年でした。ちょうど芸道50周年を迎えた年です。「オレも50年歩いてきて、やっぱり後進に道を譲ってあげなきゃな」と話してくれましたね。その後、東日本大震災が発生したことで「被災地の皆さんを元気づける歌を届けたい」とこれまで続けてきました。

 一番思い出深いのは初出場した1963年(昭38)です。居候していた下宿の娘だった私と結婚し、8畳一間の部屋で質素にお祝いしましたね。「ギター仁義」を歌っている姿を白黒のテレビで見て、胸がいっぱいになりました。歌ったあとに「おひかえなすって」と仁義を切ったのですが、これは当初なかったはずの演出。家に戻ってきた主人に話を聞くと「おもわず出ちゃったんだよね」と苦笑いしていましたが、堂々と歌っていたので「格好良かったよ」と声を掛けました。あがり症じゃないので、女房としてはずっと安心して見てきました。

 実は「白に勝ってほしい」と一回も思ったことはありません。ただただ「風邪をひかないように、体調を崩さないように」という思いだけで50回を迎えました。唯一恒例といえば、無事に帰ってきて年越しそばを食べることですね。

 77歳になりましたから、紅白だけは後進に道を譲りますが、歌手を引退する気持ちはありません。いろんな分野の方が選ばれる紅白ですが、できれば、若い演歌の子に枠を譲ってあげたいという思いが胸の内にあるのではないでしょうか。

 最後の紅白を終えて伝えたい言葉は「長い間、ご苦労さまでした」。泣かないようにしなくちゃ。私が選んだ人がここまでの人だったことを誇りに思います。(北島三郎の妻、大野雅子)

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2014年1月1日のニュース