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【浜田剛史の目】初防衛の伊藤 苦しい展開変えた“闘牛士のさばき”

[ 2018年12月31日 08:00 ]

WBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦   ○王者・伊藤雅雪 TKO7回2分11秒 同級1位エフゲニー・チュプラコフ● ( 2018年12月30日    大田区総合体育館 )

初防衛に成功し、ベルトを掲げる伊藤(撮影・島崎忠彦)
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 相手のチュプラコフが突っ込み、伊藤が避けようとしても、しつこくぶつかり、もみ合い、3回まではボクシングというより、むしろ相撲の様相を呈した。ともにまぶたをカットする激闘。リズムのボクシングを身上とする伊藤にとっては、それもままならずにまったくやりにくい戦いとなった。突っ込んでくる相手を押し返していた滑り出しの展開を見ていて、伊藤はその苦境にどう対応するだろうかと興味深かった。

 凱旋防衛戦とあってファンも注目したと思う。そんな中で伊藤は4回、相手の突っ込みを右に左にさばき始めた。闘牛士が突っ込んでくる猛牛をかわす形だ。これで距離が取れるようになり、相手も攻めあぐみ、伊藤の持ち前のリズムが復活した。いやな展開を切り替えるということは難しいことだが、それをやってのけたことは、やはり米国で王座を獲得したことによる自信だろうし、また力もつけたということだろう。今回の勝利は大きい。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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2018年12月31日のニュース