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立教大学【全日本大学野球3回戦】逆転の立教が、天理大倒し4強進出!!

[ 2017年6月9日 05:30 ]

全日本大学野球選手権3回戦   立大4-3天理大 ( 2017年6月8日    神宮 )

拳を大きく突き上げる中川(C)「立教スポーツ」編集部
Photo By 提供写真

 代名詞となった「逆転の立教」が、この日も奇跡を起こした。試合開始から2時間37分後、二塁手林田(観3=島原)が夜空へ上がった打球を掴むと、マウンドの中川(コ1=桐光学園)は拳を大きく突き上げた。

 中盤、いや終盤まで明らかに天理大ペースだった。初回、先制点を許すと4回には連打でさらに1点、8番石原(3年=玉野光南)にも左翼フェンス直撃の適時二塁打を浴びた。先発の手塚(コ2=福島)は、3回1/3を6安打3失点で降板。劣勢で試合は進む。打線も天理大の左腕中川(4年=玉野光南)の、最速143キロの直球と100キロ台の大きなカーブで緩急をつけた投球に翻弄された。好機は演出するも、あと一本が出ない。

 それでも、4回途中から手塚の後を受けた2番手中川が最高級の投球術を披露した。「力に頼っていたら長くは持たないので、何とか技を使って三振を取ろうとせずに内野ゴロで打ち取るように心がけて投げていました」。新人ながら、リーグでは守護神として10試合に登板した下手投げ右腕。中学以来の全国の舞台だったが、「プレッシャーに強い」という持ち味を存分に発揮した。「0点に抑えるという気持ちでそれだけを考えて投げました」と、意地でもホームを踏ませなかった。

 これまで、何度も劣勢をはね返し、勝利を掴んできた立大。またしても、その時はやってきた。まずは8回。一死2塁で打者は5番山根(営4=浦和学院)だ。リーグ戦で4本塁打し、幾度となくチームを救った男が全国でも神った。それまで無失点に抑え込まれていた中川の121球目。136キロの直球をフルスイングする。白球は夜空の神宮を高々と舞い、訪れた一瞬の静寂。直後、大歓声へと変わり、観客が総立ちで万雷の拍手を送った。左翼席中段へと消える、大きすぎる、2点本塁打だった。これが、反撃への号令となった。

 続いて9回、一死後寺山(社3=神戸国際大附)が内野安打で出塁。「監督がサインは出せないが、行ってくれと思いました」。願いが通じた。熊谷(コ4=仙台育英)の打席で3球目、盗塁し2塁を陥れた。さあ、二死2塁で、この日は2度の好機で凡退していた主将。振りぬくと中前へ打球が抜けた。寺山はスピードを緩めずに生還し、ベンチに迎え入れられた。塁上でも、チーム屈指のイケメンは破顔し、大きくガッツポーズ。土壇場で、ついに同点に追いついた。

 その裏、中川は2死1、2塁のピンチを迎える。だが、一打サヨナラの場面でも落ち着きを見せ、牧野(4年=龍谷大平安)を遊飛に仕留めた。

 大会規定によりタイブレークが適用され、10回からは1死満塁でスタートした。さらに、指定の打順から始めることができるというルール。その状況で選択したのは、3番だった。飯迫(社3=神戸国際大附)は初球を打ち二塁ゴロとなり、その間に三塁走者が勝ち越しのホームイン。だが、4番笠松(コ4=大阪桐蔭)は続かず、10回表の攻撃を、わずか1点で終えた。

 命運はルーキーに託された。10回裏も、中川は当たり前のようにマウンドへ。一人目、4番打者相手を、130キロ直球で空振り三振に封じ込める。そして二死満塁で、昨日満塁弾を放った6番山本(4年=天理)との対戦。初球、スライダーでストライクをとる。2球目は直球が外れ、ボール。3球目に選択したのは、「生命線」だというインコースへの直球だった。ミット一直線に軌道を描くと、弾き返された打球は力のない二飛となり、試合は決した。

 精も根も尽き果てた。しかし、それだけの価値がある。大きすぎる白星で、59年ぶりの準決勝進出。だが、これは奇跡なんかじゃない。タテジマの強さは、本物だ。(6月8日・浅野光青)

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