伝統の一戦前に番記者が“前哨戦” 巨人は新戦力で雪辱準備OK 阪神は岡田野球健在でお手並み拝見

[ 2024年3月28日 06:00 ]

2月のオープン戦で対戦した岡田監督(左)と阿部監督

 巨人担当・川島毅洋キャップ(45)と阪神担当・倉世古洋平キャップ(45)が、29日から始まる東京ドームでの開幕3連戦を前に番記者トークバトルを繰り広げた。昨年の直接対決では阪神が18勝6敗1分けと大きく勝ち越し、18年ぶりにリーグ制覇。阿部慎之助新監督(45)のもと雪辱に燃える巨人と、受けて立つ岡田彰布監督(66)による伝統の一戦の行方を両キャップが占った。

 ――岡田、阿部両監督とも互いを意識しているように見える。

 倉世古 岡田監督は巨人を警戒しています。球団創設90周年、2年連続Bクラス、監督の交代など、ライバル球団に発奮材料が多いことで「フロントも球団も、そんなんじゃアカンとなるのは当たり前やからな」とムードの違いを感じ取っています。

 川島 阿部監督は就任以来、阪神のことは物凄く意識しています。昨年は近本、中野の1、2番が全然スイングをしてこなかったのが不気味だったこと、ボール球に手を出さず四球を選んでつながれたことを阪神の強さの要因に挙げ、その上で「見習うべき」と語っていました。実戦で「見逃し三振OK」と指示を出したのは、割り切る勇気を持ってほしかったからだと思います。

 ――キャップから見た両監督の野球とは。

 川島 阿部監督はキャンプから競争を掲げてきました。オープン戦で結果が出なかった新外国人のオドーアに対しても、2軍での再調整を決断。本人が2軍行きを拒否し退団となりましたが、指揮官の毅然(きぜん)とした振る舞いは就任時からぶれていません。ましてや、オドーアはメジャー通算178本塁打と実績十分。なかなか簡単にできることではないと思います。

 倉世古 采配合戦を好む監督でもあります。昨年は相手ベンチとの駆け引きや頭脳戦が物足りないのか「張り合いはないわ」と口にしたことも。結果的に、適材適所の用兵で圧倒的V。阿部監督には、お手並み拝見とばかりに、上から目線で臨むのではないでしょうか。

 川島 もちろん、今年は同じ轍(てつ)は踏みません!オープン戦では得点圏に走者を置くことにこだわりました。盗塁、ヒットエンドランなどで走者を動かしたり、1死一塁から犠打のサインも。どうやって1点を取るか、というメッセージを作戦面で実践し、チームに浸透させてきたと思います。

 ――今季の戦力をどう分析しているか。

 倉世古 昨年から戦力は大きく変わっていません。新顔は救援のゲラぐらい。生え抜きでは強打の前川、中継ぎの岡留が台頭した程度です。逆に言えば、入る隙がないほど主力の実力が高い証拠です。

 川島 今年は新戦力が充実しています。昨年のドラフトでは1位が中大の西舘、2~5位は全員社会人を指名。開幕には西舘がセットアッパー、佐々木は1番打者としてスタメンが濃厚です。ソフトバンクからトレードで移籍した高橋礼は、阪神との3戦目に先発予定。セ・リーグにはいないアンダースローだから、対応に時間がかかるのでは。雪辱への下地は着々と固まっていますよ。

 ――最後に開幕3連戦の展望を。

 倉世古 卓越した野球勘で選手を動かし、効率良く1点を奪い、しぶとく1点を守る野球は今年も健在。ただ、昨年のように簡単には勝てないと、考えているはず。オープン戦では近本、大山、森下の状態が良くなく欠場しがちでしたが、開幕3連戦は出場予定。オープン戦最下位に沈んだムードを変えてくれるでしょう!

 川島 開幕戦で打線が青柳を攻略できるかがポイントで、相性のいい丸あたりが打てば勢いに乗ります。「相手に考えさせる野球」で開幕カードを勝ち越せれば、面白いシーズンになる。いや、必ず、勝ち越してもらいます!

 ◇川島 毅洋(かわしま・たけひろ)1978年(昭53)生まれ、神奈川県出身の45歳。02年入社。編集センター(整理部)を経て巨人、西武、アマチュア野球、ソフトバンクなどを担当。巨人担当は通算8年目。

 ◇倉世古 洋平(くらせこ・ようへい)1978年(昭53)生まれ、三重県出身の45歳。02年入社。リオ、平昌、東京の五輪3大会と、19年ラグビーW杯を取材。22年に16年ぶりに阪神担当に復帰し、虎番歴通算4年目。

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