大阪桐蔭・境がランニング本塁打「自分の足は変わらない」俊足で8強進出貢献

[ 2024年3月28日 05:00 ]

第96回選抜高校野球大会第8日   大阪桐蔭4―2神村学園 ( 2024年3月27日    甲子園 )

<大阪桐蔭・神村学園>5回、ランニング本塁打を放ち本塁に滑り込む大阪桐蔭・境(撮影・中辻 颯太)
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 2回戦4試合を終え、8強が出そろった。大阪桐蔭(大阪)は境亮陽外野手(3年)がランニング本塁打で大会第3号を記録するなど小刻みに加点し、西谷浩一監督(54)が春夏の甲子園大会で通算69勝目を挙げ、智弁和歌山などを指揮した高嶋仁氏(77=智弁和歌山名誉監督)を抜いて単独最多に浮上した。報徳学園(兵庫)は快勝。中央学院(千葉)と青森山田(青森)は競り勝ち、ともに初の準々決勝へ進んだ。

 打球が飛ばないなら、俊足を飛ばせばいい――。低反発金属バットに完全移行した今春23戦目で生まれた大会3号。大阪桐蔭・境は柵越えでなく全力疾走で本塁に還ってきた。

 「低反発になっても、自分の足は変わらない。甲子園を思い切り走れて良かった」

 2―1の5回先頭。カウント1―1からスライダーを芯で捉え、角度良く上がって右翼へ。「低反発バットだし、柵は越えないだろう」と加速した。フェンス直撃で大きく跳ね返った間に迷わず三塁も回って一気に生還。選抜では21年中京大中京(愛知)の櫛田理貴が専大松戸(千葉)との1回戦で記録して以来3年ぶりのランニング本塁打を決め、計3安打3得点で駆け回った。

 50メートル走5秒8の走力はスプリンター並み。中学時代はクラブチームの練習が土日しかなく平日は中学校の陸上部で走り込んだ。「ちょっとしたトレーニングのために」と専門にした短距離走で才能開花。100メートル走で自己ベスト11秒06を記録し中3時は全国大会にあたるジュニア五輪にも出場した。磨いた走力は飛ばないバットの対応策として生きた。

 入学直後、新入生を前にした西谷監督の訓示「日本一になるために自分が何をすべきか考えなさい」を聞き、片手間ではなく本気で日本一を目指した陸上部の活動が間違っていなかったことを確信。両親に伝えた。「陸上部のときの考え方と全く一緒だった。これまでに日本一と言ったのは、陸上部の顧問と西谷先生だけだから」。入部直後は大半の選手が伝統の走り込みに体重が激減する中、悠々と乗り切って野球に集中した。

 岐阜出身、学業部内1位、昨秋まで投手兼任という共通項から「根尾2世」と呼ばれるプロ注目の逸材だ。「目の前の1勝に集中するだけ」。きょう28日は昨春準決勝で敗れた報徳学園との再戦。新バット攻略法も、昨春の雪辱も、鍵は1番の足にある。
(河合 洋介)

 ◇境 亮陽(さかい・りょうや)2006年(平18)4月21日生まれ、岐阜県大垣市出身の17歳。小3から荒崎野球少年団で野球を始めて投手兼遊撃手。中学では岐阜南ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年秋から背番号14でベンチ入りし、2年秋から背番号7。50メートル走5秒8、遠投105メートル。1メートル80、75キロ。右投げ左打ち。

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