【杉谷と一問一答】「自分の歩んできた道は間違っていなかった」高橋の直球は「魂にきました」

[ 2022年11月5日 18:43 ]

侍ジャパンシリーズ2022   日本ハム4―5日本代表 ( 2022年11月5日    東京D )

<侍・日>試合後、場内を一周する杉谷 (撮影・白鳥 佳樹)
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 今季限りでの現役引退を表明した日本ハムの杉谷拳士内野手(31)が5日、東京ドームで行われた侍ジャパンとの強化試合に代打出場し、14年の現役生活に別れを告げた。

 7回無死一塁、阿部の代打で登場すると、東京ドームのファンから大きな拍手が起きた。侍ジャパン2番手の高橋宏斗投手(中日)に対し、4球目の149キロ直球をとらえたが、右飛に終わった。日本ハムのナインに迎えられると涙がこぼれる。新庄監督にも抱きしめられた。試合後には日本ハム、侍ジャパンの両軍の選手に胴上げしてもらい、新庄監督、栗山監督が見守る中、5度宙を舞った。

 試合後の会見での杉谷とのやりとりは以下の通り。

 ――現役生活を振り返って。
 「14年、正直言うと長かったなっていう思いがありますし、今こうして自分の歩んできた野球の道が間違っていなかったという1日になりました」

 ――最後の打席は大歓声に見守られた。
 「その前からいろいろとチャンスをうかがっていたんですけど、どこで行くのかは新庄さんと話し合いながら、一番盛り上がるところにしようっていって。地上波の放送が終わってしまって。それもそれでボクらしいなと思いながら、よし、切り替えてやろうとネクストバッターズサークルにいました」

 ――最後は左打席。
 「うーん、きのうの段階では最後は右でやろうかなって思ったんですけど、プロで14年やってきて、スイッチヒッターで最初から最後まで駆け抜けようという思いがあったので、最後の最後まで、右ピッチャーの時は左に立って終わろうと思っていました」

 ――涙を流しながらベンチに。
 「ダサかったですね。笑顔で終わりたいなと思っていたので。ただ、このような場を設けて頂いた日本代表の皆さま、関係者の皆さま、また、ファイターズの皆さまに感謝の気持ちで一杯だったので、凡退した後にいろんな思いがこみ上げてきまして。大泣きしていましたね。はははは。はい」

 ――試合後は胴上げ。どんな気持ちか。
 「ずっと戦ってきた仲間もいましたし、新しい仲間もたくさんいたんですけど、本当、野球を通じて繋がってきたモノが最後こういう形になったんだなと思って、ものすごく野球人生、幸せな瞬間だったなと思っています。本当にありがたい気持ちです」

 ――栗山監督とも話しを。
 「いつも栗山監督には本当に迷惑を掛けていましたし、いろんなことを話した結果がいまこうした形になっているので。ただ、これから先どんなことがあっても前進しなければいけないという話しもされましたし、野球界にどんどん貢献できるように、スポーツ界をもっと盛り上げられるように、栗山監督からは「ここからだぞ」っていう話しを、短い時間でしたけど、ここからは拳士、生涯泣くな、と話をしました」

 ――今後どういう人生を。
 「うーん、どういう人生。ほんと野球を通じてたくさんの方から勇気と元気を頂きましたし、また日本中のみなさんに僕から勇気と元気を与えられるような、そんな存在になりたいと思っているのと、まああの、今後ね、どういう形で野球界に恩返ししたらいいのかというのを考えながら、前進して、国内外含め、いろんな形で勉強していって、必ずスポーツ界に貢献しようと思っていますので、前進した杉谷をまた、テレビ越しで見せられるようにしっかり勉強していきたいなと思います」

 ――自身にとっての野球というスポーツは。
 「たくさんのことを学びました。苦しいこともうれしいことも団体スポーツの中でしか味わえない、ほんと、優勝した瞬間だったり、サヨナラの瞬間だったり、自分の人生の中でも前進してくれる気持ちを与えてくれるようなそんなスポーツだったかなと思います。最後、噛んじゃいましたね。野球というスポーツは常に僕を前進してくれるようなそんなスポーツだったなと思います。今の方、絶対使って下さい」

 ――2回くらいからチャンスをうかがっていたと新庄監督が言っていたが。
 「真剣勝負の場っていうこともありましたし、日本代表のみなさまにこういう機会を設けて頂いていたので、自分がすること、本当に1打席立たせてもらえればありがたいですという話しもしていましたし。どういう場面で行くかは分からなかったんですけど、後半の1打席、いただくことができたらうれしいなっていう話しをしました。新庄さんはチャンスで行くよ、だったり、最初から行くよというお話もしてくれていたんですけど、そこは辞める身なので、真剣勝負の場なのでこういう形になりました]

――最後の打席は涙も見せていた。
 「振り返ってみて、高橋君の球も日本を代表するピッチャーの球だなと思って横から見ていたので、打席に立てて、個人的にはすごくうれしかったですし、結果こそ出せなかったですけど、最後自分のスイングというか、姿というのを見せることができて良かったかなと思っています」

 ――試合前の打撃練習中に恒例のアナウンスもあった。
 「ほんと、西武ライオンズの球場でシートノックだったり打撃練習を見て、育ってきていたので、そこでプロ初ヒットも打つことができましたし、また、プロ野球選手となって、こうして鈴木さんにものすごいいじっていただき、皆さんにも認知されるようになって、また、きょう最後鈴木さん来たらいいなと思っていたんですけど、こうした形でお会いすることになって、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。きょうも来るとしらなかったので。心の中で最後、鈴木さんが来るといいなと思っていたので。打撃(の順番)も最後だし。最初に、ドームの方がアナウンスして頂いて、その後に〝えっ〟となって、鈴木さんに変わった時は本当に幸せな野球人生だなと思いながら打撃練習させていただきました」

 ――明日からの予定。
 「明日からは北海道に帰って、道民の皆様に14年間終わりましたと感謝の気持ちを伝えるためにTVのお仕事を入れさせていただきました。まずは北海道からそして全国の皆様に、14年間幸せな気持ちで野球ができたということを伝えていきたいなと思います」

 ――打席の最後、新庄監督と抱き合った。
 「ガーガー泣いたのであまり覚えていないですけど、本当にお疲れ様だねと言われたので、1年間貢献できずにすみませんでしたと伝えました。そんなことないよ、楽しかったよ。本当にお疲れ様って言われたので。ワンワン泣いていましたね」

 ――場内を一周した後は栗山監督に声をかけられて写真も撮った。
 「こういう決断に至る時にいろいろ相談させてもらいましたし。何より一番迷惑をかけた方だったので。新庄さん、栗山さんの下でできることは本当に幸せなことでしたし。監督からは前に進みなさいと言われて。ここから先、野球界にどうやって恩返しするのか。ここから前に進むよ、と。前進ですねとお話しました。本当にこういう場を与えて頂いてありがとうございますと感謝の気持ちを伝えさせて頂きました」

 ――打席について。
 「高橋くん、初めて対戦しましたけど。将来、日本一になれるような球の投手の打席に立たせて頂いて本当に幸せでしたし。なんとかヒットを打って終わりたいなと思ったけど、いろいろなこと考えて、前に飛んだらいいなという後ろ向きな気持ちになってしまったので。これからの人生後ろを向かないように、前を向いて頑張っていきたいですね。高橋くんは強いまっすぐを投げ込んでいて、本当に魂に来ました」

 ――最後に。
「素敵な記事を書いてください。それでワイン一杯飲みますので。これからも何らかの形でお会いすると思いますので。ありがとうございました」

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