広澤克実氏、9回同点で勝負か満塁策か ベンチは「判断」しっかり検証することが大事

[ 2022年5月18日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1-2ヤクルト ( 2022年5月17日    神宮 )

広澤克実氏
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 【広澤克実 視点】勝負どころでは捕手は1球ごとにベンチを必ず見る。そして、指示に従う。それが鉄則だ。阪神は同点とされ、なおも1死二、三塁でオスナに2ボールとなったところでも、坂本は当然、ベンチの意思を確認していた。指示がないからストライクを取りにいって、サヨナラ犠飛を許した。これはバッテリーの責任ではない。

 オスナと勝負するか、満塁策を取るか。2つの選択肢があった。この判断については、しっかり検証してほしい。将棋でも感想戦があるように、監督、ヘッドコーチ、投手コーチ、バッテリーコーチが集まり、この場面を総括する必要がある。その結果を翌日のバッテリーミーティングでしっかり伝える。それが大事なことだ。

 検証した上で、勝負は当然、という結論なら、第三者が是非を言うべきではないと思っている。もし後悔があるのであれば、同じことを繰り返さないように対策を徹底するしかない。これからの戦いに向けても、そこはしっかり話し合う必要がある。

 試合の流れとしては同じ9回に一塁走者の山田が中村の中前打で三塁を陥れたことで、ヤクルトに流れが傾いた。近本の肩という弱点を、相手は土壇場で突いてきた。だが、これは仕方ない。責められない。阪神のリードオフマンは近本しかいない。そして、どんな選手にも弱点はある。ヤクルトも青木や山田の弱点を分かった上で起用している。それがペナントレースだ。

 併殺を含む4打数無安打、2三振の佐藤輝には、ヤクルトの伝統をここで伝えたい。野村克也監督、そして捕手・古田敦也の時代から「打者が意識する球を2球目に投げる」という決まりがある。9回の第4打席、その2球目の高め直球で中飛に打ち取られた。1球目ではなく、2球目で勝負。その意味するところを考え、中村のリードに対抗してほしい。(スポニチ本紙評論家)

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