斎藤佑樹「どんなに格好悪くても前だけを見て来た」涙の引退セレモニー、ファンに最後のあいさつ

[ 2021年10月17日 18:25 ]

パ・リーグ   日本ハム―オリックス ( 2021年10月17日    札幌D )

<日・オ>引退セレモニーでチームメートらに胴上げされる斎藤(撮影・高橋茂夫)
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 今季限りで現役を引退する日本ハム・斎藤佑樹投手(33)が17日、引退試合となった本拠地・札幌ドームでのオリックス戦にリリーフ登板し、11年のプロ野球人生に終止符を打った。

 背番号1が北の大地でファンに別れを告げた。1軍での登板は、19年9月27日のオリックス戦以来2年ぶり。観衆の上限1万人のチケットが完売する中、1点リードの7回にマウンドに上がり、福田と対戦。初球は129キロ直球でストライク、最後はフルカウントから直球が外角に外れて四球となり、打者1人で降板した。ベンチに戻り、こらえていた涙があふれ出した。

 試合後の引退セレモニーでは、オーロラビジョンに入団時からこれまでの軌跡が映し出された。早実の先輩でもある荒木大輔投手コーチ(57)らから花束を受け取ると再び涙を流し、スピーチでは「ファイターズファンの皆さん、入団してから今日に至るまで温かいご声援をありがとうございました。にもかかわらず皆さんのご期待に沿うような成績を残すことができず本当にすみませんでした」と言い、「11年間、ファンの方に喜ばれたいと思ってチームの勝利に貢献したいと思って必死に腕を振り続けてきました。そうすることで自分の居場所が見つかると思い、投げ続けてきました。あきらめてやめるのは簡単、どんなに苦しくても、がむしゃらに泥だらけになって最後までやり切る。栗山監督に言われ続けた言葉です。その言葉通り、どんなに格好悪くても前だけを見て来たつもりです」とファンにあいさつ。そして、「ほとんど思い通りにはいきませんでしたが、やり続けることに後悔はありません。そしてファイターズには尊敬できる素晴らしい方々がたくさんいました。優しく叱ってくれる先輩がいて、格好いい同期がいて、後輩も皆誇らしい選手ばかりです。そんなみんなのおかげで僕も入団した時よりは、少しはましな大人に成長できたんじゃないかと感じています。そんな素敵な方々に出会えたのも野球を始めされてくれて、続けさせてくれた両親に感謝したいです。お父さん、お母さん、ありがとうございます」と両親に感謝し、「最後になります。斎藤は持っていると言われたこともありました。でも本当に持っていたら、いい成績も残せたでしょうし、こんなにけがもしなかったはずです。ファンの皆さんも含めて、僕が持っているのは最高の仲間です。皆さんと過ごした時間は僕の一生の宝物です。長い間、本当にありがとうございます。きっとまたお会いしましょう」と締めくくった。セレモニーの最後はチームメートによってマウンドで5度、宙を舞った。

 斎藤は早実のエースとして06年夏の甲子園で7試合948球を投げ抜き優勝。「ハンカチ王子」の愛称で人気を集め、早大を経て10年ドラフト1位で入団した。1年目に6勝、2年目の12年は開幕投手も務めたが、その後は故障に苦しみ続けた。1軍では2017年以降勝利から遠ざかり、11年間でここまで88試合15勝26敗。2019年を最後に1軍登板はなかった。昨年は右肘内側側副じん帯を断裂。再起を目指してきたが、今月1日に11年間のプロ生活に幕を下ろすことを発表した。

 ◇斎藤 佑樹(さいとう・ゆうき)1988年(昭63)6月6日生まれ、群馬県出身の33歳。早実では高3春夏の甲子園出場。夏の決勝は駒大苫小牧との延長15回引き分け再試合の末に優勝。「ハンカチ王子」として一世を風靡(ふうび)する。早大ではリーグ6人目の通算30勝&300奪三振を達成。10年ドラフト1位で日本ハム入団。11年4月17日のロッテ戦でプロ初登板初勝利。通算成績は88試合で15勝26敗、防御率4・34。1メートル76、77キロ。右投げ右打ち。

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