新記録達成の広島・栗林 一度はプロ入り諦めかけた過去 トヨタ時代の同期の一言で再び夢を追いかける

[ 2021年5月5日 05:30 ]

セ・リーグ   広島1-1巨人 ( 2021年5月4日    マツダ )

<広・巨(8)>9回2死二塁、丸を三振に仕留め吠える栗林 (撮影・奥 調)
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 広島・栗林良吏投手(24)は、4日の巨人戦を1回無失点に抑えて、デビューから14試合連続無失点とした。ドラフト制以降の新人では、19年のソフトバンク・甲斐野を超えるプロ野球新記録を樹立。しかし、打線が1得点しか奪えずに今季3度目の引き分けに終わり、5位に転落した。

 栗林は、新人とは思えない駆け引きをしていた。登板したのは同点の9回。「本当に(連続無失点)記録のことは気にならなかった。ゼロで帰りたい、抑えたいという気持ちだけだった」。1死から梶谷に左翼線への二塁打を浴び、2死として打席に丸を迎えた。

 前回4月25日の丸との対戦では、フォークで空振り三振を奪った。今回は初球から3球連続でフォークを選択し、4球目は外角直球で見逃しストライクとしてカウント2―2。5球目、捕手・石原のサインに首を振って要求したのは、前回の勝負球と同じフォークだった。狙い通りにワンバウンドさせた球を振らせて空振り三振。これでデビューから14試合連続無失点となり、ドラフト制新人のプロ野球記録を更新した。

 「丸さんもフォークが頭に入っている状況。前回の三振もあって石原はフォーク以外を選択してくれたけど、その前の反応を見てまだ使えるな…と思った。打たれて後悔したくなかったので、ベストボールを選んだ」

 さかのぼること2年前。プロ野球選手になる夢を諦めるつもりで、トヨタ自動車に入社した。同期には、栗林と同じく大学でドラフト指名漏れをした外野手・逢沢がいた。大学日本代表で同僚だった間柄。入社直後、プロ入りを希望していた逢沢から伝えられた。「2年後、一緒に見返そう」。この一言をきっかけに、再び夢を追いかけることに決めた。

 休日は逢沢と一緒に自主練習。2人だけの屋内練習場で変化球を交えて対戦するのが恒例だった。「俺ら2人でトヨタを勝たせよう」が合言葉。社会人野球の名門で栗林はエース、逢沢はレギュラーにまで成長した。ただし、2人同時のプロ入りはかなわなかった。広島に1位指名された後、逢沢に「来年プロで待ってるよ」と伝えた。ひと足先にたどり着いた夢舞台で堂々と無失点を守っている。

 「チームが勝てていないので、うれしさはあまりない。勝っていたら、そういう気持ちも芽生えたかもしれないですけど…」。個人記録に無関心なままたどり着いた日本記録だった。(河合 洋介)

 ▼広島・佐々岡監督(栗林について)全く大したもの。昨日は1点ビハインドで、今日は同点でもしっかりと抑える。頼もしい。この記録をずっと続けてくれれば、チームの勝利(につながる)ということになると思う。

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