レンジャーズ メジャー唯一の「100%観客動員」、タイムスリップしたような光景に歓喜と不安

[ 2021年4月20日 02:30 ]

レンジャーズ本拠地のスタンドのファン(AP)
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 今季から有原航平投手(28)が所属するレンジャーズが、米テキサス州アーリントンの本拠地グローブライフ・フィールドで観客数を制限せずに公式戦を開催している。新型コロナウイルス感染が拡大した昨春以降、主要米プロスポーツでは初の試み。米国のボールパークに日常の光景が戻りつつある現状を、スポニチ本紙の杉浦大介通信員が取材した。

 2年前はこのような光景が日常だった。3万5856人で埋まり、今季2番目の観客動員数となった10日のパドレス戦。グローブライフ・フィールドの収容人数は4万518人なので、約88%の入りだ。試合開始3時間前にはゲートに長蛇の列ができていた。テキサス州では既にマスク着用義務は解除されている。電光掲示板には「マスクをしよう」という文字は躍っているものの、着用率は50%程度か。グッズや飲食の売店もにぎわっていた。

 売店の店員は「去年は60試合の短縮シーズンでほとんど無観客。ようやくホームチームを応援できるようになって、ファンがエキサイトしているのが感じられます」と証言する。「コロナの不安はないのか?」と質問すると、「政府がもう大丈夫だと判断して商業活動の全面再開を後押ししたのだから、みんな信用していますよ」と笑顔で返してきた。

 観客動員を制限せずに公式戦を開催しているのは30球団でレンジャーズだけ。開幕戦の3万8238人をはじめ、ホーム10試合中、8試合が2万人以上を集めている。実際に満員に近い観客で埋まった球場を目にすると、懐かしさとともに、少なからず無防備に感じられたのも事実だ。入場時には体温チェックや問診票の記入はなし。球場内に設置される消毒液の数は少なく、6フィート(1・8メートル)のソーシャルディスタンスはほとんど守られていない。コロナ対策と言えるのは、チケットのペーパーレス化、飲食のオンライン決済の徹底くらい。ニューヨークのヤンキースタジアムがワクチン接種かウイルス検査陰性の証明書の提示を義務付けた上で、収容人員の20%を上限としているのとは別世界のようだ。

 同じテキサス州のヒューストンに本拠を置くアストロズのミニッツメイド・パークも50%と、他球場よりも制限が緩い。今年、ニューヨークからテキサスに移住したという球場職員は「テキサスはウイルスを気にしない人が多いように思えます。球場内も安全対策を万全にするのではなく、正常であるように振る舞うことで安心感を与えようとしているのではないか」と不安そうな表情で話す。

 長く続くパンデミックの中でも、ワクチン普及とともに、感染者の減少といった明るい材料は増えている。テキサス州でも1日あたりの新規感染者数は3月1日の6557人から4月17日には2098人まで減少。徐々に元通りの姿に近づき、球場内は「コロナ以前」にタイムスリップしたような喜びも感じた。ただ、まだ油断すべきではないという声は無視できない。先陣を切ったレンジャーズの「100%動員」が、悪い方向に進まないことを願うばかりだ。

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