岩隈久志氏 古巣マリナーズで特命コーチ就任 イチロー氏と感激タッグ「また一緒に」

[ 2021年1月14日 05:30 ]

古巣のマリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(左)と指導にあたることになった岩隈氏
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 マリナーズは12日(日本時間13日)、昨季限りで現役を引退した球団OBの岩隈久志氏(39)が、特命コーチに就任すると発表した。臨時を除き、日本人の元大リーガーがメジャー球団でコーチの肩書を背負うのは初めて。契約期間は1年で、2月上旬にも渡米する見込みだ。会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(47)とともに古巣の指導にあたる。指導者としての新たな一歩を前に、スポニチ本紙に思いを語った。

 日米通算170勝をマークしたレジェンド右腕の「第二の野球人生」が始まる。発表を受け、岩隈氏は感謝と意気込みを打ち明けた。

 「本当にありがたいお話で感謝しています。できる限りのことをして、選手にさまざまなことを伝えていきたいと考えていますし、チームに貢献できるように自分自身も勉強しながら取り組んでいきたいと思っています」

 引退会見後の昨年末、ジェリー・ディポトGMからオファーを受けた。「思い入れのある古巣が声を掛けてくれたことがうれしかったです」。家族にも話し、昨年中には快諾の意向を球団側に伝えていた。12年から7年間、在籍したマリナーズでは通算63勝。15年8月12日のオリオールズ戦では野茂英雄(96、01年)以来、日本人2人目のノーヒットノーランも達成している。

 その実績も当然ながら、球団側は人間性を高く評価。17年に右肩の手術を受け長期のリハビリに入ったが、その間も真摯(しんし)に野球と向き合った姿勢が印象に残った。「キャリアを通じて発揮した技術はコーチ、選手らに最適の教材」とディポトGM。18年の退団時、昨オフも、非公式ながら同等のオファーを出していた。

 マ軍には一緒にプレーしたイチロー氏がいる。コーチに就任することも報告済みだ。岩隈氏は「ご縁があって、また一緒にできる。いろんなことを聞いていきたいと思っています」と再会を心待ちにする。現役選手では3年目を迎える菊池がいる。過去2年で計8勝と思うような結果を残せずにいるが「慣れてきた部分もあると思う。まずはしっかり見て、聞かれたことに積極的に答えていきたい」と飛躍へのサポート役になる。

 新型コロナウイルスの感染拡大状況に留意しながら、現状では2月上旬の渡米を予定。アリゾナ州ピオリアでの春季キャンプから始動し、若手投手を中心にメジャー、マイナー両方で指導に携わる。米国常勤ではなく、日本帰国時は国内でのスカウト活動にも携わる方針。今度は指導者として、「IWAKUMA」が海を渡る。 (川手 達矢)

 ◆岩隈 久志(いわくま・ひさし)1981年(昭56)4月12日生まれ、東京都出身の39歳。堀越から99年ドラフト5位で近鉄入団。04年に15勝で最多勝。05年から創設1年目の楽天に所属し、08年に21勝4敗、防御率1.87。最多勝、最優秀防御率、最高勝率に加え、パ・リーグMVP、沢村賞に輝いた。12年に海外FA権を行使してマリナーズ移籍。15年には日本人大リーガーでは2人目のノーヒットノーランを達成した。19年に巨人に移籍して日本球界に復帰し、20年限りで現役を引退。日米通算376試合に登板し170勝108敗2セーブ、防御率3.31。右投げ右打ち。

 【日本人大リーガーの引退後の米球団指導】
 ☆松井秀喜氏(ヤンキースGM特別アドバイザー)15年3月に就任。傘下マイナー球団を巡回し、若手選手を指導。試合でベンチ入りすることもある。17年ア・リーグ本塁打王&新人王の大砲ジャッジらのブレークに尽力した。

 ☆イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)19年5月に就任。指導では打撃、外野守備、走塁を担当し、本拠地での大半の試合前練習に参加し、打撃投手として連日300球を投げる。傘下3Aタコマでの指導も担う。

 ☆野茂英雄氏&斎藤隆氏(パドレス球団アドバイザー)野茂氏は16年2月に就任し、育成と編成部門、環太平洋地域での球団の事業展開に従事。春季キャンプはユニホーム姿で若手を視察した。斎藤氏は17~19年に、育成と編成部門を担った。

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