野球の面白さを感じる「右の4番打者」の活躍

[ 2020年7月12日 09:00 ]

西武・山川
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 スポニチの評論家、東尾修氏から「近年右のパワーヒッターが本当に増えた。今年は特に各球団で活躍しているよね。イチローや松井秀喜が活躍していたころは、すぐに右投げ左打ちに変更した小学生が多かったが、右の大砲は各球団が一番ほしい戦力だから喜ばしいことだ」という話をいただいた。

 各球団の4番に和製大砲が座る球団は一時期より確実に増えた。巨人・岡本、広島・鈴木、楽天・浅村、西武・山川…と並ぶ。2番を主に打つヤクルト・山田や巨人・坂本など40本塁打を打つ能力のある選手もいる。

 東尾氏はチームマネジメントの上でも「右の和製大砲が4番に座ることは重要だ」と説く。理由を要約すると(1)一番に足がある左打者を置く球団が多い。右打者が4番に入れば左、右、左、右とジグザグに上位打線を組める(2)和製大砲が4番に座ることで、外国人選手の当たり外れに左右されることなく、安定した打線が組める――という理由だ。

 その上で、新型コロナウイルスの影響で特別なシーズンとなっている今季にも大きな相乗効果があると見る。「今年は異例の調整期間で開幕した。気温の上がった時期の開幕で、真剣勝負の中で体は予想以上に動いてしまう。故障しないように監督は選手を休ませながら起用する必要がある」。確かに巨人は開幕から同じオーダーがないほど猫の目打線を組んでいる。各球団とも投手、野手ともに主力を休ませながら起用を繰り返している。「4番を中心としたクリーンアップがしっかりしていれば、1、2番や下位打線に若手を思い切って起用できる。監督の決断を楽にさせる」。なるほど。巨人は岡本の開幕4番は不動である。

 2軍にも中日のドラフト1位の石川昂や、阪神のドラフト2位、井上ら、将来の4番候補と言われる右の大砲がいる。対左投手、対右投手を苦にしない打者は増えており、左打者、右打者を単純に分けることはできないが、「右の4番打者」がいるチームの成績、選手起用などに目を向けると、また違った角度から野球の面白さを感じられるはずだ。(記者コラム・倉橋 憲史)

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2020年7月12日のニュース