練習を「我慢」した楽天ナイン 石井GMは謝意「休む勇気を持って…」

[ 2020年5月9日 10:30 ]

楽天の石井GM
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 楽天が8日から、球場を使用した練習を再開した。新型コロナウイルスの感染予防策として3月30日からチームの活動を休止した上で、1、2軍ともに球場や室内練習場などの球団施設への立ち入りを禁止。まさに「ロックダウン」ともいえる12球団で唯一の強固な措置が、40日ぶりに解除された。

 徹底した感染予防策について、石井一久GMは「野球をすることが正解か不正解かは分からないけど、選手やスタッフ、家族になるべくリスクがないようにやっている」と説明した。覚悟を持って、あえてチームの動きを完全に止めた。この方針に選手たちは理解を示し、39日間にも及ぶ活動休止期間を乗り越えた。

 プロ野球選手にとって39日間も満足いく練習ができない状況に身を置くことは死活問題であり、言葉では表現できないほどの焦りがあったに違いない。ある選手は「報道で他球団の情報を見ると、めちゃくちゃ焦りましたね。だから、新聞もテレビもネットも、野球関連のニュースはシャットアウトしていました」と明かす。

 自主練習の初日のトレーニングを終えた浅村も「とにかくやれることをやっていこうと思っていた。ここまで野球ができなかったのは初めて。もどかしい気持ちでいっぱいだった。普通に野球がやれるのが当たり前だと思っていたので、不安でしたね」と偽らざる本音を口にした。

 自主練習の再開にあたって、石井GMは選手たちに「本当にここまで休む勇気を持って我慢してくれた」と謝意を示した。なぜ、楽天ナインは「我慢」できたのか。きっと、頭の中で「感染予防」と「野球」をどこかで切り離して考えていたからだろう。

 チームの野手最年長で打撃コーチも兼任する渡辺直は「練習でどこまで(技術や体力を)高めようと言っている場合じゃない。感染せずに再開に合わせることが一番チームのためになる。自分一人の責任ではなく、球界の責任を背負って生活している」と話していた。目的は「感染しない・させない」こと。それに徹したのだ。

 自主練習を継続してきた他球団の選手たちに比べて、現時点で調整の遅れは否めない。開幕日が決まっていないため、日程の逆算もしにくい。さらに、練習の強度を一気に上げると故障のリスクを伴う。チームとして大きな一歩を踏み出したものの、まだまだ課題は山積している。

 就任1年目の三木監督は日ごろから、選手たちにある言葉を繰り返していた。「プロなんだから」「プロとしてどうするべきか」。プロ野球選手として、プロ野球チームとして、まさに真価が問われるシーズンになりそうだ。(記者コラム・重光 晋太郎)

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2020年5月9日のニュース