岡山・和気閑谷高野球部 障がい者専用野球グラブを開発 体に負担少なく球速アップ

[ 2020年5月9日 05:30 ]

和気閑谷野球部が開発協力した障がい者専用グラブ
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 岡山県の和気閑谷(わけしずたに)野球部が障がい者専用の野球グラブを開発した。

 昨年10月から文部科学省「地域協業事業」の一環として身体障がい者野球の強豪「岡山桃太郎」と交流する中、専用グラブの制作を発案。選手がデザイン案を考えた。岡山市の野球用具店「タカギスポーツ」のオリジナルグラブブランド「ロマネクロウ」職人・森川徹也さんの協力をあおぎ、完成した。

 グラブを使うのは岡山桃太郎のエースで右腕の早嶋健太投手。17年の障がい者野球世界大会の日本代表として世界一に貢献。MVPにも先出された実力者だ。

 生まれつき左手首から先がなく、捕球も右で行うためグラブは左投げ仕様だ。投球時は左腕をグラブのウェブに差し込んでいたが、落下防止のため強くグラブを抑えこまなければならず、反動で負担がかかった右ひじを手術するなど苦労が多かったという。トレーナーによる動作解析で原因を突き止め、専用品はグラブが落下しにくく、体への負担が少ない工夫が施された。

 早嶋は新グラブ効果で球速が5キロ以上アップ。「左腕が自由に使えるようになり野球観が変わりました」とコメントした。

 同校は江戸時代の1670年、岡山藩主・池田光政が開いた日本最古の庶民のための学校「閑谷学校」をルーツとする伝統校。生徒運営のボランティア活動や地域の活性化に積極的に取り組んでいることで知られる。岡山桃太郎とは18年の西日本豪雨災害の際に練習場所を提供したり、練習補助をしたことから交流が続いている。

 スポニチ本紙の元イチロー番記者で、33人の部員が所属する野球部を率いる浮田圭一郎監督は「第2弾、第3弾も考えている。地域に貢献しながら、今後も支援を続けていきたい」と意欲。パラ五輪の正式種目採用へ後押ししていきたいたい考えだ。

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2020年5月9日のニュース