どうなるプロ野球、Jリーグ開催…専門家チーム3医師が語る“課題と見解”「もう少しリスク排除を」

[ 2020年3月10日 05:30 ]

<第2回「新型コロナウイルス対策連絡会議」会見>会見に臨む(左から)三鴨廣繁・愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授、賀来満夫・東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授 東北大学名誉教授、舘田一博・東邦大学医学部微生物感染症学講座教授(撮影・西海健太郎)
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 「新型コロナウイルス対策連絡会議」に専門家チームとして参加している賀来満夫氏、三鴨広繁氏、舘田一博氏の3医師が、記者会見でプロ野球、Jリーグ開催にあたっての課題や見解を語った。

 ▼賀来満夫医師(東北医薬大医学部感染症学教室特任教授・東北大名誉教授)
 Jリーグ再開とプロ野球開幕があと1週間と迫った段階で、家族や選手の健康問題対策、観客への検査態勢について、まだ準備する必要がある。危機管理の面で、もう少しリスクを排除した方がいいのではないかということ。感染のリスクをゼロにするのは難しい。入場時に体温が37.5度以上の観客を断るとしても、サーモメーターを全ての球場、スタジアムに導入するのは難しい。トイレも消毒がない時にせっけんをどうするか。入場の段階で、観客の方の意思もある。入場時のチェック態勢などが整えば再開に近づくが、それが1週間では難しい。プロ野球もJリーグもリスク管理を徹底しているが、今、患者が増えている中では難しいという判断。

 ▼三鴨広繁医師(愛知医大大学院医学研究科臨床感染症学教授)
 このウイルスは接触感染が極めて重要。48時間はウイルスが生存すると報告されている。不特定多数が来る中での環境、トイレや客席への清掃もしっかりしないといけない。もちろん、選手のベンチ、ロッカーの清掃も。18日(Jリーグ再開)、20日(プロ野球開幕)に向けて準備する上では時間が足りないのではないか。スタジアムには3万~5万人が来る。マスクや消毒薬をそろえるのも困難で、プロ野球は連戦にもなる。経済不況で、明るいニュースを届けるために、再開への可能性を探ったが時間が少ない。観客を間引く、距離を取るのも難しいので、断腸の結論に至った。感染が下火になったとしても、観客から感染者が出ることをゼロにするのは難しい。

 ▼舘田一博医師(東邦大医学部微生物・感染症学講座教授)
 我々、感染症の専門家としては観客を守るのが第一で、さらにチーム、選手、そして2つのスポーツ文化を守ることで議論を始めた。一日一日、治療や診断についての情報が変わりつつある中で、再開するのはリスクが大きいというコンセンサスになった。今後、より良い対策が出てくるのではないかと期待している。アルコール消毒、マンパワーによる準備をするための時間が必要という結論。インフルエンザのように暖かくなれば消えていくような感染症ではおそらくない。1年続くのか、というタイムスパンで、賢く対策を取っていけるか。今の時点では、どの時点に再開するのかというのを判断するのは難しい。

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