巨人・阿部 ミスターの前で惜別弾!本拠最終引退試合で406号「最高です!」涙こらえ示した橙魂

[ 2019年9月28日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人6-4DeNA ( 2019年9月27日    東京D )

ファンの声援に手を振って応える阿部(撮影・森沢裕)
Photo By スポニチ

 やっぱり最高の男だ!巨人・阿部慎之助捕手(40)が27日、本拠地レギュラーシーズン最終戦に「4番・捕手」で先発出場。引退セレモニーが行われた一戦で、4回に今季7号、通算406号となるソロ本塁打を放って千両役者ぶりを発揮した。ポストシーズンで再びプレーする東京ドームでも躍動し、自身4度目の日本一で有終の美を飾る。

 割れんばかりの「慎之助コール」に手を上げて応えた。8回。阿部が一塁の守備に一度就くと、交代が告げられた。ファンに送り出す間を設けるメジャー流の演出。DeNAナインもベンチ前に整列する姿に、胸には感謝の思いが充満し、試合後のスピーチでそれを伝えた。

 「巨人軍の皆さま、ラミちゃん、ベイスターズファン、本当にありがとうございます。最高です!」

 今季限りで引退する背番号10を称え「ありがとう慎之助」と銘打たれた東京ドーム最終戦。まさに、阿部劇場だった。

 「4番・捕手」で15年5月31日の楽天戦以来1580日ぶりのスタメンマスク。4年ぶりの捕手復帰を目指した今季。「やってもらうと楽になるから」と首から右肩にかけて大きな青あざができるほど痛みを伴う治療にも耐えた。捕手で優勝に貢献できなかった悔しさは残ったが、この日、ついに実現した。

 マウンドには自ら指名したマシソンだ。初回無死一塁。ソトの打席の2球目、ファウルがマスクを直撃した。「大事に至らなくてよかった。運命を感じたよ」。同じ事態で首に激痛が走った15年6月6日のソフトバンク戦を思い出し、にやりと笑った。

 2回からは中大の後輩の沢村が登板。サインに沢村が何度も首を振る。タイムをかけてマウンドへ行く。12年の日本シリーズの「頭ポカリ」再現かと思いきや、阿部は握手を求めた。「社会全体でパワハラが問題視されているので」。阿部らしいユーモアたっぷりの演出の後、一塁守備に就いた。4回にはスタンドで家族が見守る中、右翼席中段へ通算406本目のアーチ。全球直球勝負に「気持ちよく打たせてもらって申し訳ないなと」と感謝してダイヤモンドを一周した。

 久々の捕手に「こんな景色だったかな。疲れたよ。いつもと違うところに張りが出た」。CS、日本シリーズが控える中での引退セレモニー。球団には家族からの花束贈呈も提案されたが「まだ、しんみりしたくない」と断った。「涙を流すと気持ちが切れてしまうので我慢している。日本一になってから泣こうかと」。涙を流すのはまだ先だ。(青森 正宣)

 ▼DeNAラミレス監督(元同僚の本塁打に)球界を代表する素晴らしい選手の一人。次も対戦するなら注意しないと。

 ▼DeNA平良(巨人時代の先輩を7回に二飛に封じる。阿部は当初の予定を変更し7回まで出場)今までで一番いい球を投げて打ち取りたいと思った。“ナイスボール”と言っていただいて、対戦できて幸せな時間でした。

 ▼DeNA神里(中大の先輩から初回に二盗。3回には一塁上で会話を交わし)“完璧なスタート切ってんじゃねえよ。おまえはまだ先があるから許す”と言われた。偉大な先輩。

 ▼DeNA中川虎(右越えソロを被弾)打たれて悔しい気持ちはあるが、それ以上に楽しい気持ちがあった。

続きを表示

2019年9月28日のニュース