【歴代巨人キャップが語る「原辰徳」】腰が抜けそうになった20秒間の「黙読」

[ 2019年7月31日 09:00 ]

セ・リーグ   巨人8―5広島 ( 2019年7月30日    東京D )

お立ち台でインタビューを受け、力強い口調で質問に答える原監督(撮影・木村 揚輔)
Photo By スポニチ

 若大将、やりましたね。今季3度目の指揮を執り、通算13年目で1000勝に到達した巨人・原監督。現役、コーチ時代を含め、取材してきた歴代の巨人担当キャップが原監督の人柄や当時の思い出を語った。

 原監督番になってまだ9日目のことだ。今年の1月9日。椅子に腰かけた指揮官を報道陣で囲み、雑談も交えて20分取材。突然「今朝のスポニチある?読ませて」と言われた。

 前日の講演で、人的補償で移籍した広島・長野と西武・内海を「勝負の世界は足し算ばかりではない。引き算もある」と計算式に例えた紙面。手渡し、記者20人の前で行われた「公開黙読」だった。

 緊張した。20秒の沈黙の後「言葉をしっかり表現してくれてるね。もらっていい?」。安堵(あんど)で腰が抜けそうになったのが、私の番記者生活の始まりだ。

 試合後の会見では「采配の妙」を聞く。23日のヤクルト戦。同点の9回無死一、二塁で重信に強攻を指示し、サヨナラ勝利した。犠打も想定されたが「どちらが確率がいいか」考え、京セラドームの芝が打球を殺しにくいこと、俊足打者に併殺の可能性が低いことから強攻に出たという。

 翌日の紙面は、私の方から原監督に手渡した。「読んだよ。ありがとう!」と肩を抱かれた。指揮官の考えを、読者に伝えるのが私の役目だと思う。 (19年巨人キャップ・神田佑)

続きを表示

2019年7月31日のニュース