中畑氏、イチローはもしかしたら…感傷的な気持ちを吹き飛ばす姿が見たい

[ 2019年3月19日 08:45 ]

<巨人・マリナーズ>試合終了後、元木コーチと話すイチロー(撮影・西海健太郎)
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 【キヨシスタイル】もしかしたら野球人生にけじめをつけるために日本に来たのかもしれない。イチローの「覚悟」のようなものを感じたマリナーズと巨人のプレシーズンゲーム初戦。1日たっても、その存在が頭から離れない。打った、打たないじゃない。監督、コーチ、選手のほとんどが両手を合わせ、まるで神を迎えるようにイチローと接している。メジャー19年目。積み重ねた記録だけじゃなく、試合への準備、練習のスタイル、努力の仕方…。全てが野球選手はこうあるべきという手本になっているんだ。

 チームメートがイチローに対して敬意を払っている姿を見て、私まで誇らしい気分になった。ONを足して、2で割らない。足したまんま。記録にも記憶にも残る世界のスーパースター。だから凡退しても大きな拍手が湧くんだ。

 病に倒れた長嶋茂雄監督に代わって私がヘッド兼打撃コーチとしてアテネ五輪の指揮を執った2004年。メジャー4年目のイチローはシーズン最多262安打の大記録を打ち立てた。MLBはメジャーリーガーの五輪出場を認めず、一緒に戦うことはできなかったけど、彼は06年、09年のWBCで日の丸を背負い、連覇して日本の野球を世界に知らしめてくれた。

 特に09年は不振にあえぎながら、韓国との決勝戦で延長10回に林昌勇(イムチャンヨン)からセンター前に決勝のタイムリー。強烈なインパクトを残した。チームリーダーとして胃潰瘍になるほどの集中力、全神経を注ぎ込んでいたんだ。侍のリーダーとしての自覚、責任感。ヤンキースのチーム事情が許さなかったのかもしれないが、松井秀喜は日の丸を背負ったことがない。イチローが記録以上に松井と違うところだ。

 そんなレジェンドの凱旋。みんな口にはしないけど、終わりが近づいているのを感じているからこそ、自然に「イチロー、ありがとう」という気持ちになっている。でも、こちらが勝手に感傷的になっているのを思い切り打ち破ってくれるのがイチローなんだよね。

 20日からの開幕2連戦。感傷を吹き飛ばしてくれる結果を願いながら、その「覚悟」をしっかり見届けたい。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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