「引き出し」増えた　阪神　近本　ドラ１対決を制す「揺さぶりから入ろうかなと」

オープン戦   阪神２―７ソフトバンク （ 2019年3月4日    ヤフオクＤ ）

８回無死、近本はセーフティーバントを決める（投手・甲斐野
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　阪神のルーキー・近本が新たな「引き出し」を増やした。見せ場は先頭で迎えた８回。４番手でマウンドに上がったソフトバンク・甲斐野の初球、外角直球を三塁方向に転がす、技ありのセーフティーバント（記録は内野安打）。捕手・栗原がつかんだ時には一塁ベースを駆け抜ける鮮やかさで、ドラフト１位対決を制した。

　「（甲斐野の球を）１球はみたいなという思いはあったんですが、それが結果的にフェアゾーンに入った。それがファウルでも見逃しでも、揺さぶりから入ろうかなと思っていました」

　剛腕を前にしても虎のルーキーは冷静だった。人生で「２回目くらい」というセーフティーバント。実に小学生以来のトライでも結果を出すから頼もしい。「サードに意識してもらえれば、いいかなと。成功であれ、アウトであれ、サードや内野が前に来れば、ヒットゾーンも広がる」とうなずいた。

　もちろん反省も忘れない。１、２打席目はミランダの前に２打席連続で見逃し三振。配球の読みを外された形になり「手が出なかった」と唇をかんだ。それでも３打席目は高橋礼の外角直球に逆らうことなく三遊間を破る安打。やられっぱなしでは終わらないのが近本という男だ。

　２試合連続の複数安打でオープン戦は全４試合で安打を記録し１２打数６安打、打率・５００は胸を張っていい数字。矢野監督も成長に目を見張る。「近本の足っていうのを警戒してってなると、守備位置も前にくる。ヒットゾーンも広がるし、相手にとっても嫌なものになる。２三振の後にヒットを打って、しぶとさも見えたかな」。千賀のおばけフォークを仕留め、甲斐から盗塁を決めた２日と合わせ、手にした「博多土産」はシーズンでも必ず生きるはずだ。

（吉仲　博幸）