【斎藤隆MLBレポート】ゲーム差でCSアドバンテージに変化を

[ 2017年10月19日 11:30 ]

ワイルドカード1位でリーグ優勝決定シリーズに進出しているヤンキース(AP)
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 日本のクライマックスシリーズ(CS)は11年目を迎えました。3位までに入れば、日本一になれる可能性があるため、いわゆる「消化試合」は減り、営業面でも一定の成功を収めているのは事実です。ただ、果たしてこれが最終形なのか。MLBのシステムと比較すると、いびつに映る部分もいくつかあります。

 今年はセ・パともに優勝チームが2位以下に10ゲーム以上の大差をつける独走V。このような状況になると、他の5球団は2位、3位狙いとなり、エース級を1位チームにぶつけない戦略も出てきます。それは、ペナントを争うという本来の野球からは少しズレてしまいます。また、ぶっちぎりで優勝したチームと1ゲーム差で逃げ切った優勝チームが、同じ1勝のアドバンテージでいいのか。「これがベストなのか」を議論する時期に来ているのではないでしょうか。

 MLBはワイルドカード(WC)1位のヤンキースがリーグ優勝決定シリーズまで進出していますが、ア・リーグ15球団の中の「4番目」であり、ポストシーズンに進出するにふさわしいだけの力はあります。6球団中、3番目でもOKの日本とは意味合いが異なります。そのMLBは、12年からWCを1チームから2チームに増やしました。WC同士によるスリリングな一発勝負を設けるとともに、それまでほぼ同等の立場だった地区優勝チームとWCに明確な「差」をつけました。

 何もかもMLBが優れているとは思いません。例えば、ドラフトの完全ウエーバー制。30球団最低勝率チームが、翌年のドラフトで「いの一番」指名の権利を得るというのは、戦力均衡という点では理にかなった制度ですが、一方でプレーオフを諦めたチームが「一番負ければ、一番いい指名順位をもらえる」という考えにシフトしてしまうのは、違和感を覚えます。

 やはり、全てのチームが、1位を目指して戦うのが本来の姿で、優勝チームのアドバンテージを2位とのゲーム差によって変えるのも一つのやり方でしょう。これを最終形と考えず、もっと面白い、日本独自のシステムができればいいと思います。 (パドレス球団アドバイザー) 

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2017年10月19日のニュース