解禁!リアル二刀流 大谷「6番・投手」3安打&3勝目

[ 2016年5月30日 05:35 ]

<ロ・日>投げては7回1失点3勝、打っては3安打!リアル二刀流で大暴れした大谷

パ・リーグ 日本ハム12―3楽天

(5月29日 コボスタ宮城)
 パなのに投打で大暴れ!日本ハムの大谷翔平投手(21)が29日、リーグ公式戦で初めて指名打者を使わず先発出場した。「6番・投手」で打っては3安打1打点、投げては7回4安打1失点で3勝目をマーク。打者で今季2度目となる猛打賞、投手で最速161キロを叩き出すなど、規格外の活躍だった。日本ハムがDHを解除するのは1975年の同制度導入後初めて。大谷の二刀流は4年目を迎え、新たなステージに突入した。

 投げて、打って、勝った。まるで野球漫画のヒーローのようだった。試合後のベンチ裏。勝利を見届けた大谷の表情がやっと緩んだ。

 「DHで出る選手より、打たなくてはいけないというプレッシャーがある。それを助けるのも自分。勝ちもついてきて良かった」

 「6番・投手」。投手としてパ・リーグの公式戦で指名打者を使わずに先発するのはプロ4年目で初めて。75年のDH制導入後、球団初の試みだった。2点を先制した初回の第1打席は2死二塁で一ゴロに倒れたが、心配無用だった。「投手・大谷」は3回に1点を失うも、6回2死一、二塁ではドラフト1位新人のオコエに対し「空振りを取りにいった」とこの日最速の161キロをマークして三ゴロ。7回2死三塁では同じく新人・足立を161キロで空振り三振に仕留め、吠えた。

 「打者・大谷」が本領を発揮したのは5回の第3打席から。右前打を放ち、連続試合安打を自己最長の11に伸ばすと、6回にも右前打。7回2死一、二塁では3安打目の右中間適時二塁打を放った。DH制がないセ・リーグで今季3安打した投手はいないが、規格外の大谷は違った。

 3日前だった。栗山監督は26日のロッテ戦(函館)の試合前に「(29日の登板で)DHを外すから」と大谷に通達。登板3日前は打者での出場を続けてきたが、その日に今季初めて欠場した。負担を考慮された大谷は打撃練習だけを行い、試合前に次の遠征地の仙台に向かった。この日は打撃練習も行わずに、野手ミーティングも欠席。「初めて。基本的に来た球を打つだけだった」。それでも打者では3安打1打点で今季2度目となる猛打賞。投手では7回4安打1失点で3勝目と、投打で存在感が際立った。

 「DH解除」。栗山監督は大谷と話し合い、入念に準備してきた。大谷が先発登板した15日の西武戦(札幌ドーム)の全体練習前、栗山監督も参加したコーチ会議でも検討。この時点では見送られたが、DH制が採用されないセ・リーグ主催の交流戦、さらに先にあるパ・リーグ公式戦を見据え、交流戦前の最後のタイミングで実現した。

 栗山監督は「交流戦ではめちゃくちゃ無理させようと思っている」と言う。「(交流戦も)打って、投げて、貢献できるように頑張ります」と大谷。変化を恐れて進化はない。二刀流は新たな領域へと入った。(柳原 直之)

続きを表示

この記事のフォト

2016年5月30日のニュース