石川慎ヒーローだ! ハム高卒4年目が「ウオー」雄星撃ちV弾

[ 2015年6月29日 06:50 ]

<西・日>7回2死、石川慎は決勝弾を放つ

パ・リーグ 日本ハム2―0西武

(6月28日 西武プリンスD)
 無名の4年目野手が雄星撃ちだ。日本ハム・石川慎吾外野手(22)が28日の西武戦で4連勝中の菊池雄星投手(24)から7回に値千金の先制ソロ。150キロ台の速球で中田から2三振を奪うなど絶好調だった雄星のカーブを仕留め、2位相手に3連敗の危機を救った。チームはソフトバンクに続く40勝到達。6月を10勝10敗とし、3カ月連続勝ち越しの望みをつないだ。
【試合結果】

 打球は右中間スタンドの最深部に飛び込んだ。二塁手前まで全力で走っていた石川慎は「ウオー」と絶叫した。150キロ超の剛速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーションで快投してきた左腕・菊池を、伏兵がひと振りで沈めた。

 0―0の7回だ。「6番・右翼」で今季2度目のスタメンに抜てきされた22歳は「ラッキーボーイになる」と言い聞かせた。直球を狙ったが「体がピタッと止まった」と113キロのカーブに反応。26日の西武戦(西武プリンス)で今季1号を放ったばかりだが、プロ3本目の2号ソロは交流戦後1勝6敗と沈んでいたチームを救う値千金弾となった。

 東大阪大柏原時代は通算55発をマークし、高3夏には同校を春夏初めて甲子園に導いたスラッガーだった。だが4年目の今季は初の開幕1軍もわずか3試合で2軍落ち。高卒同期入団の近藤、上沢、松本が1軍で活躍する姿に複雑な心境となったが「そんなことで悩んでいるなんて小さい。1、2軍で区別しないように心掛けよう」と2軍にいながら1軍でプレーすることを常に想定し、打率・314、10本塁打と打ちまくった。

 その地道な姿勢が実った。今月12日に再昇格し「(23、24日のロッテ戦を行った)旭川から西武戦で左投手が来ることは分かっていた」と何日間も菊池の投球をイメージし、「雄星撃ち」の準備を整えた。2回に四球、5回も右越え二塁打をマークし「きょうはボールがよく見えていた」。右方向に長打を打てるのが石川慎の魅力だ。

 ニューヒーローの台頭に、栗山監督も「雄星を打って自信になるだろう」と目を細めた。この日は左手骨折で戦線離脱中の陽岱鋼(ヨウダイカン)が2軍交流戦の広島戦(鎌ケ谷)に実戦復帰し、いきなり右越え2ランを放った。指揮官は当初、7月10日の西武戦(札幌ドーム)からの再合流を希望していたが、大幅に繰り上がって来月3日の楽天戦(東京ドーム)で1軍復帰させる可能性も出てきた。

 石川慎にとっては強力なライバルとなるが「次も同じような結果を出せるように練習していきたい」とレギュラー争いに一歩も引くつもりはない。主力と若手が刺激し合えばチームは活性する。2位を争う西武との直接対決で3連敗を免れ、指揮官が笑みをこぼすのも当然といえた。(横市 勇)

 ◆石川 慎吾(いしかわ・しんご)1993年(平5)4月27日、大阪府生まれの22歳。小4から本格的に野球を始め、東大阪大柏原では1年夏からクリーンアップ。3年夏に甲子園出場。11年ドラフト3位で日本ハムに入団。1メートル78、77キロ。右投げ右打ち。目標の選手はオリックス・小谷野。

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