球児 異例1試合ごと契約 自身無報酬で登板日売り上げ10%寄付へ

[ 2015年6月9日 05:30 ]

藤川はユニホームに袖を通す

 レンジャーズを自由契約となり、四国アイランドリーグplusの高知に入団した藤川球児投手(34)が8日、高知市内で入団会見を開いた。契約は1試合ごととなる前例のない「スポット契約」で、今季中のNPB(日本プロ野球組織)復帰にも可能性を残した。登板日のチケット売り上げの10%を児童養護施設に寄付し、本人は無報酬。背番号は11に決まり、20日のオープン戦(高知市営)で先発デビューする。

 17年ぶりに地元・高知に戻ってきた藤川の表情は晴れ晴れとしていた。テレビカメラ15台、報道陣約100人を前に、新天地での決意を語った。

 「新しい人生のスタートとしては、最高の決断をしたと思う。高知の子供たちに何かきっかけを与えられればいい。思い切り勝負する」

 日米通算で222セーブをマーク。レンジャーズから戦力外通告を受けたとはいえ、5月まではメジャーで投げていた。日本選手が大リーグから直接、独立リーグに移籍するのは初めてだけに、何から何まで異例尽くしだ。契約は登板試合ごとに交わす、前例のない「スポット契約」。ただし、藤川自身は無報酬で、登板試合のチケット売り上げの10%を児童養護施設に寄付する。契約条件は全て本人の意向で、球団側が受け入れた。

 デビュー戦は20日の香川・徳島連合チームとのオープン戦に決まり、先発のマウンドに上がる。当日は独立リーグのオープン戦としては異例の入場券を発売。「そこに対しては大きな責任がある。6月20日にどれだけ見せられるか。ワクワク、ドキドキしています」。前日には初めて練習に参加し「きのう(7日)は3イニングぐらいの投球もした。100%の力で臨めるように調整中です」と全力投球を約束した。

 地元への思いを熱く語る一方で、プライドものぞかせた。「高知でタイムリミットを設定しているか」との問いには「また力を発揮できると感じられれば。必要だと言ってもらえることがあれば、しっかりと話を聞きたい」ときっぱり。高知の梶田宙球団社長も「ここで終わるような選手ではない。いつ(NPBから)呼ばれても構いません」と、オファーがあった場合はNPBへの復帰を容認する姿勢も示した。

 NPBの補強期限は7月31日。四国アイランドリーグplusは現在、選抜チームが北米遠征中で、後期は8月1日から開幕するが、藤川はその間のオープン戦に先発する予定だ。「僕はプライドを持って純粋にプロ野球選手をする」。高知は野球人生の終着点ではなく、再出発の地となる。

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