50年ぶり早慶V決定戦…斎藤“伝説になる”

[ 2010年11月2日 06:00 ]

、肩を落としベンチに下がる早大・福井優(右)に声を掛ける斎藤

 東京六大学野球秋季リーグ戦最終週第2日は1日、神宮球場で早慶2回戦が行われ、慶大が早大・福井優也(4年)、大石達也(同)のドラフト1位投手コンビを攻略して、7―1で連勝。勝ち点、勝率で首位の早大に並んだ。この結果、優勝の行方は3日に行われる優勝決定戦に持ち込まれた。東京六大学リーグで優勝決定戦が行われるのは20年ぶり12度目。早慶両校による優勝決定戦は伝説の「早慶6連戦」が行われた60年以来50年ぶり。早大は先発が確実視されるエース斎藤佑樹投手(4年)にすべてを懸ける。

【試合結果
順位表


 【早大1―7慶大】よもやの事態に早大・応武監督はいら立っていた。1勝すれば優勝だったはずが斎藤、大石、福井優のドラフト1位トリオがことごとく本塁打を浴びて連敗。完全優勝を逃した指揮官は、選手を制して1人で会見場に現れると、優勝決定戦の先発が斎藤かと問われると気色ばんで答えた。
 「誰がそんなこと言ったんですか。白紙で考えます」

 今季は斎藤で初戦を落としても福井優が2回戦で踏ん張ってきたのがパターン。それが崩れた。広島のドラフト1位腕は、初回にいきなり連続四球でピンチを招いて先制を許すと、3回は山崎錬に右越え3ランを浴びて3回4失点で降板。慌てて西武のドラフト1位腕の大石をつぎ込んだが、投手の福谷に左翼席中段まで運ばれる2ランを浴びるなどして3回2失点で降板した。「心配していた通り。いいところを見せようとドラフト1位が思ったんでしょう。きのうの斎藤も、大石も福井も、どっちがドラフト1位か分からない」。応武監督は、今までかばい続けてきた自慢の投手陣をやり玉に挙げて敗因を振り返った。
 この結果、優勝の行方は3日の優勝決定戦に持ち込まれた。リーグでは20年ぶりだが、早慶両校による優勝決定戦となれば伝説の早慶6連戦以来50年ぶり。同日は祝日とあって、3万3000人の観衆が駆けつけた1回戦以上に注目を集めるのは確実だ。指揮官は「白紙」を強調したが、こんな大一番の先発を務められるのは斎藤を置いてほかにいない。

 斎藤はこの日、4回からブルペンで投球練習を行ったが出番はなく、静かに神宮を後にして大一番に備えた。翌4日に行われるドラフト指名会見にすっきり出席するためにも、負けるわけにはいかない。ラストシーズンが劇的な展開になったのも斎藤の天命か。早大の命運は第100代主将の右腕に託された。

 ▼広島苑田スカウト部長(ドラフト1位指名の福井優に)秋はずっとよかったけど、きょうは力んでいたね。ブルペンから力んでいたよ。2回は立ち直ったけどね。でも心配はしていません。

 ▽1960年秋の東京六大学 優勝は最終週の早慶戦までもつれ込んだ。条件は慶大が2勝1敗=優勝、早大2勝=優勝、早大2勝1敗=優勝決定戦。1勝1敗で迎えた3回戦で早大・安藤が完封して優勝決定戦へ。3回戦の翌日に行われた一戦は1―1で延長11回日没で引き分け、1日おいた2試合目も0―0で日没引き分け。3試合目で早大が3―1で勝ち優勝を飾った。優勝決定戦が3試合行われたのは史上初。6連戦中5試合に完投した早大・安藤の鉄腕ぶり、本塁上の激しいクロスプレーや好返球による憤死、土壇場に追い込まれてからの同点打など語り継がれる場面が続出。観客は6試合で計38万人を集めた。

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2010年11月2日のニュース