セ6年ぶり…“黄金世代”マエケン沢村賞

[ 2010年11月2日 06:00 ]

沢村賞を受賞し4冠達成!プレゼントされたケーキを前に笑顔でダブルピースの前田健

 プロ野球創設期の名投手、故沢村栄治氏を記念した「沢村賞」の選考委員会が1日、都内で開かれ、セ・リーグの最多勝、最優秀防御率、最多奪三振に輝いた広島の前田健太投手(22)が初めて選ばれた。セの投手の受賞は2004年の川上憲伸(中日)以来、6年ぶり。今ドラフトで日本ハムに1位指名された早大・斎藤佑樹(22)ら同学年の顔として「マエケン世代」をけん引する。

 前田健は満面の笑みを浮かべ、会見に臨んだ。吉報が届いたのは、宮崎・日南市で行っている秋季キャンプの練習中だった。野村監督に呼び止められ、受賞を知らされた。
 「獲れるとは思っていなかったので、ビックリしている気持ちとうれしい気持ち。3冠を獲らせてもらって、沢村賞も獲らせてもらって…。出来過ぎというか、本当にうれしいです」
 豪快なマウンドとは対照的な初々しい姿だった。先発投手に贈られる最高の名誉。金田正一、江夏豊、野茂英雄ら球史に輝く大投手に肩を並べ、興奮は隠せなかった。今季は最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振のタイトル3冠を成し遂げ、大車輪の活躍。投球回数も初めて200イニングを超えた。
 それでも前田健は「チームは5位に終わったし、クライマックスシリーズとか優勝争いをしてみたい」と言う。個人タイトルだけでなく、何よりもチームの勝利に飢えている。同じ88年生まれの楽天・田中、さらに来季は日本ハムに早大・斎藤、巨人に中大・沢村ら同年代の注目投手が続々と入団する予定だ。
 沢村賞を獲得したことで追われる立場となるが、望むところだ。「(ライバルみんなで)盛り上げていければ良いこと。タイトルを争えればいいですね」。世代の顔となったマエケンが、名実ともに球界のエースまで成り上がった。

 ▼北別府学氏 セ・リーグは前田健、パ・リーグでは金子千となるが、投球の内容が出るのは防御率。総合的に見て推薦した。

 <選考事情>セから広島・前田健、パから日本ハム・ダルビッシュ、オリックス・金子千が候補に挙がった。その中で7項目すべてをクリアした投手はなく、6項目の前田健とダルビッシュ、5項目の金子千の成績内容を吟味。ケガのため欠席した土橋委員長に代わって委員長代行を務めた堀内氏は「防御率を最重要視した。金子を含めて17勝が2人いるが、前田は15勝でも防御率(2・21)は足りない2勝を補って余りある」と評価した。防御率1・78のダルビッシュは勝利数(12勝)が、17勝の金子千は防御率3・30がマイナス材料。土橋氏は金子千を推す意向を伝えていたが、他の4氏が6項目で安定した数字を残した前田健を推薦。堀内氏は「選考委の総意として決めた」と説明した。

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2010年11月2日のニュース