坂本 開幕V撃!!巨人7年ぶり日本一へ先勝

[ 2009年11月1日 06:00 ]

<日・巨>第1戦を制し、阿部慎之助(手前)らを指差して笑顔の坂本勇人(中央)

 【巨人4―3日本ハム】28年ぶりの激突となった日本ハムと巨人の日本シリーズが31日、開幕した。巨人は1―1で迎えた5回2死二、三塁から坂本勇人内野手(20)の左翼フェンス直撃の2点二塁打で勝ち越し。先発のディッキー・ゴンザレス投手(30)からバトンを受けた救援陣がリードを守り切り、4―3で日本ハムに先勝した。7年ぶり21度目の日本一へ、北の大地で原巨人が最高のスタートを切った。

02年10月30日 巨人、20度目の日本一で初の4戦全勝V

 08年11月9日、西武との日本シリーズ第7戦(東京ドーム)で2回に先制弾を放った当時19歳の坂本は、大舞台の緊張から一瞬だけ解放されて目に涙を浮かべた。結局、敗れて日本一を逃した試合後には「勝負は終わってみなければ分からない」と語った。あれから1年。5回に決勝の2点打を放った若武者は二塁ベースに滑り込んだ際、何度か手を叩いただけで、すぐに表情を引き締めた。日本一に輝くまで一喜一憂はしない。20歳の決意が込められていた。
 「打った瞬間はレフトフライかなと思ったけど、しっかり振り切った分、打球が伸びてくれましたね。打席で泳がされたけど、打球が飛んだのでビックリしてます」
 5回2死二、三塁で日本ハム・武田勝から左翼フェンス直撃の2点二塁打。カウント1―1から見逃せばボールの低めチェンジアップをバットに乗せた。初球は高めの同球種を見逃してストライク。「データを見てもチェンジアップが多かったから」と狙いを絞っていた。中日を撃破したCS第2ステージからは自身のコンディションに合わせて左足を上げる高さを調整しており、この打席は「コンパクトに打ちたかったから、いつもより低くした」。対応力の高さも示した一打だった。
 なぜ打球が飛ぶのか。裏には肉体的な成長もあった。昨季は高卒2年目で全試合先発出場を果たしたが「まだ自分の体は2軍レベル。腰が重くなることが多くて打撃も不安定だった」と分析。そこで今季は年頭から体幹強化をテーマに掲げ、毎日の腹筋の回数を増やした。この日も試合開始4時間前の午後2時にグラウンド入り。腹部の上、下、横など細かい筋肉まで鍛えるため、腹筋のやり方は30種類以上もある。昨季は打率・257だったが、今季は・306。細身でモデルのような体形だが、ユニホームの下には今季の躍進を支えた“鋼の腹筋”がある。
 7年ぶり日本一に向け、北の大地で初戦を制した原監督は「(坂本は)勝負強さが出てきた。地に足をつけて1試合ずつ戦っていきたい」と意気込んだ。「全員で日本一が取れるように頑張りたい」と坂本。1年前に目に涙を浮かべていた少年は、同じ大舞台でセ界を代表するリードオフマンであることを証明した。

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2009年11月1日のニュース