振り遅れ気味もOK 松井秀、ワザとパワーの一発

[ 2009年11月1日 18:00 ]

 【ヤンキース8-5フィリーズ】技術とパワーが高い次元で融合した本塁打だった。ヤンキースの松井秀の打球は左方向にもかかわらず、ぐんぐん伸びて左翼席に飛び込んだ。7―4の八回2死で代打し、力で押す右腕マイヤーズから2試合連続のソロ本塁打。ダメ押しの一発に敵地は静まり返った。

 カウント1ボールから外角高めの速球を空振りしての3球目。外に逃げながら、同じコースにやや甘く入った速球を逃さなかった。ワールドシリーズ史上24本目の代打本塁打に、松井秀は「スイングが遅れ気味に出たが、芯に当たったので左へ本塁打できた」。指名打者制のない敵地で先発を外れながら、1打席で最高の結果を出した。
 打った本人が、「だいぶ長い間、逆方向に本塁打を打ってないから、不思議な感じ」と振り返ったのも無理はない。左打者の松井秀は7年間のレギュラーシーズンで放った140本のうち、左へはわずか5本だった。
 日本より外に広いといわれる大リーグのストライクゾーンで、パワー投手の動く速球に対応するため、試行錯誤してきた。「もともと逆方向に距離が出るタイプではない。スイング、打つポイント、いろんなものがそろってあそこまで飛んだ」。大舞台で出たアーチは、ひとつの答えだった。(共同)

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2009年11月1日のニュース