猛虎人国記

猛虎人国記(68)~総括~ 輝く925人の猛虎たち

[ 2012年3月27日 06:00 ]

 歴代タイガース在籍選手を出身高校(旧制中学)・都道府県別にたどってきたが、まだまだ書き切れていない。

 まず、出身校が分からない選手が2人いる。球団にも問い合わせてみたが不明だった。

 佐藤栄一は球団創設初年度の1936年(昭11)に在籍していた。球団史『阪神タイガース 昭和のあゆみ』やメディアガイドで内野手として確認できる。だが出身校は空欄で、年齢も経歴も分からない。

 丸山臣洋は2リーグ分立翌年の51年に新入団し、1シーズンだけ在籍。背番号33。捕手。出身校は「大手高」とある。この大手高がどこにあるのか分からない。新潟の長岡大手高や広島の大手町商高は当時、別の校名だった。香川の大手前高松高は開校前だ。大阪の大手前高だろうか。

 また、昨年12月8日に発表されたトレードで楽天から投手・松崎伸吾が移籍してきた。上園啓史との交換だった。福島県相馬市生まれで、高校は青森県の光星学院に進んだ。既に青森県は終えていたので、ここで追加する。青森県出身者はこれで4人目だ。

 思えば、メディアガイドなど基につくる一覧表(スポニチ紙面大阪版に掲載)がひと苦労だった。なのに、兵庫県の表(昨年12月29日付紙面)に訂正が見つかった。投手コーチ、編成部長などで在籍した藤江清志の出身校は関学中が正しい。捕手・本田明浩の文字が間違っていた。おわびしたい。また大阪府や兵庫県では出身校に新制中学もある。青田買いの格好で高校進学前にテスト入団した。

 この一覧表では在籍した全選手を網羅したつもりだ。創設時、契約を破棄して法政大に進んだ享栄商の2選手や書類上は一時入団した江川卓も載せた。さらに外国人、移籍の松崎、今季の新人を含め、選手合計で925人に及ぶことが分かった。

 都道府県別でみれば、上位は(1)大阪府108人(2)兵庫県67人(3)和歌山県42人(4)愛知県41人(5)広島県38人……と地元中心に野球どころが並ぶ。逆に山形県は今も鶴商学園(現鶴岡東)出身の青木重市ただ1人だけ。新潟県は03年4月移籍入団の日本文理出身、吉田篤史が初めてで、47都道府県の空白が埋まった。

 出身校の輩出上位も平安(現龍谷大平安)、PL学園を筆頭に強豪・名門校が並ぶ。一方で村山実の住友工(現尼崎双星)、山内一弘の起工、梶岡忠義の成器商(現大阪学芸)、藤井栄治の登美丘…など、出身のプロ野球選手は1人だけで、甲子園出場が一度もない学校も多い。反骨の猛虎魂が見えるようだ。

 地元の人々にとって、プロ野球選手誕生は大きなニュースであり、希望の星である。野球人として、その頂点に立つ選手には敬意を抱く。タイガース76年の歴史のなかで、925人のスターたちは、きら星のごとく輝いていた。=敬称略==おわり=

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