【内田雅也の追球】大勝の阪神、中日との明暗分けた「投ゴロ」と「四球」 投手守備と制球の重要性

[ 2024年4月21日 08:00 ]

セ・リーグ   甲子園 ( 2024年4月20日    阪神15-2中日 )

<神・中>2回1死二塁、大野(奥)の打球をさばき、二走・上林を挟殺でアウトにする大竹(撮影・北條 貴史)
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 阪神大勝の試合は、序盤の投ゴロが明暗を描く要因となっていた。投手の放った投ゴロが2回表と裏それぞれにあり、好対照の結果となった。

 表の阪神の守り。先発の大竹耕太郎は3連打で逆転を許し、なお1死二塁。投手・大野雄大の放った強めの投ゴロをよく捕り、二塁走者が飛びだした。素早く二塁送球し挟殺でピンチを脱した。捕球できなければ安打性のゴロ。また走者飛び出しがなければ2死二塁、次の中前打が適時打となり3点目を失っていた。

 1―2で迎えた裏の攻撃。無死満塁で打席に大竹。2ストライクまでは打ち気がないよう見えた。「待て」が出ていたのか。打って併殺が懸念され「三振」の指示があってもおかしくはない。

 だが2ボール2ストライクから大竹は打ちにでて、投ゴロとなった。このゴロを大野ははじき、逆を突かれた形の二塁手も追いつけず、右前に転がる同点打となったのだ。

 捕られていれば、1―2―3と本塁経由の併殺。1点も入らなかったかもしれない。大竹も「もしピッチャー捕ってゲッツーだったらって考えたら、ちょっとぞっとします」と話していた。

 現実には無死満塁が残り、上位に返った打線がつながって、大量7点が入ったのである。

 投手は「5人目の内野手」である。投手守備の重要性が浮き彫りとなった。打者から最も近い投手である。瞬間の動きで考えている暇などない。普段のPFP(投手守備練習)で筋肉記憶(マッスル・メモリー)がいかに蓄積されているか。

 ただし、大野も守備はうまい。この時は好捕した大竹も1回表は投ゴロをはじいて内野安打としピンチを招いていた。勝負の綾である。グラブの出し方一つで、こんな大差がついたわけだ。

 もう一つ。阪神が得点した回はいずれも四球が起点となっていた。1、2回裏は先頭、6、7回裏は1死から四球で出て打線がつながった。まるで昨季の攻撃である。

 一方で大竹以下、阪神3投手は無四球だった。チーム与四球は20試合で41個、この日でリーグ最少、奪った四球は67個を数え、リーグ単独最多となった。まさに昨季の姿である。

 監督・岡田彰布は「シーズン序盤は負けて学べばいい」と泰然としていた。確かに負けて苦しみながら、いつの間にか、首位は目の前にある。 =敬称略= (編集委員)

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