中畑清氏　巨人・岡本よ、喜んで、怒って、悔しがって3冠獲って！

[ 2024年4月16日 05:30 ]

　【キヨシスタイル！】いいねえ、巨人6連勝。全球団とひと回り目の対戦を終え、首位中日にゲーム差なしの2位につけている。

　手探りが続くオーダーの中で唯一不動の4番・岡本和。打率・389、3本塁打、12打点はいずれもリーグトップだ。過去に本塁打王3回、打点王2回。今季は広角に打てているしね。3冠王の可能性を感じさせてくれる。

　3つ獲るのは1人じゃ無理だ。打線全体の盛り上がりが必要なんだよね。特に前後の打者が重要。2022年、村上（ヤクルト）が獲ったときも1番から塩見、青木、山田と並んでさ。後ろにオスナ、サンタナ。チャンスで回してもらえないと打点が稼げないし、5番が頼りないと勝負してもらえないからね。

　その点、今の巨人は1～3番が固まりつつある。一発長打の魅力もある萩尾を1番に入れ、2番は足を絡められる佐々木。3番は打率・302をマークしている門脇。機動力野球を目指す阿部監督の思い切った若手起用に選手が応えている。

　5番は勝負強いベテランの坂本。14日の広島戦は今季初めてスタメンから外した。長いシーズン、いい状態を保つために休ませたんだ。

　投手陣ではベテランの菅野がいい。安定した投球で早くも2勝。ソフトバンクから移籍した高橋礼もいいなあ。リリーフ陣も抑えの大勢、ルーキーの西舘が安定している。左膝痛で抹消された中川の代わりにはバルドナードがいるしね。勝ちパターンの継投が見えているから、野手陣も安心して1点を取りにいくことができている。

　16日の阪神戦から始まる2巡目の戦い。今の流れを固められるかどうか。主砲のバットに期待したい。それともう一つ、岡本和に注文がある。もう少し喜怒哀楽を出してもらいたいんだ。

　特に見逃し三振したとき。涼しい顔してベンチに帰ってこられちゃしらけるよ。3冠王に2度輝いた王貞治さんですら、みんなに聞こえるように「失礼しました」と謝ってたからね。ペーペーだった私は背筋が伸びたものよ。

　悔しさを表現してチーム内にピリッとした空気を送るのも4番。喜んで、怒って、悔しがってさ。3冠獲って、最後にみんなで笑えるシーズンにしてほしいな。（スポニチ本紙評論家・中畑　清）