日本航空石川 避難受け入れの「恩返し」12点快勝 輪島市内で被災した福森は選抜ベンチ入り目指し奮闘

[ 2024年3月3日 07:15 ]

練習試合   日本航空石川12ー4日本航空 ( 2024年3月2日    日本航空グラウンド )

<日本航空・日本航空石川>試合前、あいさつする日本航空石川・宝田主将(右)ら(撮影・島崎忠彦)
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 高校野球の対外試合が2日に解禁され、今春選抜に出場する日本航空石川(石川)は、昨秋県4強の日本航空(山梨)に12―4と快勝発進した。石川県輪島市内にある同校は元日の能登半島地震で被災し、野球部員は系列校の山梨キャンパスに避難している。その受け入れ先である兄弟校相手に万全の調整を見せ、被災地に勇気を届けようと臨む本番へ手応えを深めた。

 日本航空石川が春初戦の相手に選んだのは、避難を受け入れてくれた兄弟校だった。現在、野球部員は輪島市を離れて、系列校である山梨キャンパスの教室に段ボールベッドを敷き詰めて生活中。同校野球部とは、合同練習も実施してきた。おかげで万全の調整を進められたことへの感謝を示すかのように、打線が15安打12得点の猛攻を披露。中村隆監督は「感謝の気持ちを持ってやらせていただいた」と言葉を紡いだ。

 その試合の中、指揮官が「目頭が熱くなった」と振り返る場面があった。昨秋ベンチ外の福森誠也(2年)が10―1の7回から3番手で登板。石川出身の福森は、元日に輪島市内で被災し、「津波が来るぞ!」との叫び声が聞こえ、祖母の舞子さん(66)を背負って高台へ逃げた。そこから山梨入りするまで約2週間の避難所生活を経験した。苦難を乗り越えて与えられたアピール機会で2回3安打2失点。懸命に腕を振り「やりたいことはできました」と初のベンチ入りに向け力強い一歩を踏み出した。

 山梨で練習を再開してから、約1カ月半が過ぎた。1月26日、選抜出場決定に涙を流して喜び合ったのも、この山梨キャンパスだった。8日からは選抜に備えて関西入りするため、この避難生活もいったん、ひと区切りとなる。それでも大会本番では山梨キャンパスの吹奏楽部や応援団も甲子園に来場予定で、兄弟校からの心強い支援は続く。福森は「地元の友達や知り合いの方も凄く応援してくださっている。その応援に応えられるように頑張っていきたいです」と決意を新たにした。山梨での支えも原動力とし、輪島に勇気を届けるための準備は、最終段階に入った。 (河合 洋介)

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