DeNA「部長進化論」連載<5> ついに完結!最終回は球団運営の円滑化に尽力する西崎氏の進化論

[ 2024年2月26日 12:00 ]

キャンプ地で仕事の電話連絡をするDeNA・西崎部長
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 DeNAのチームスローガン「横浜進化」にちなみ、球団部長の日々の奔走を紹介するDeNA「部長進化論」。キャンプのオフに紹介する5回連載最終回は、球団と選手会とのパイプ役を中心に、球団運営の円滑化のため尽力する“元プロ”の西崎伸洋運営部長(41)を紹介。ついに現場5部長の「進化論」が完結します。(構成、DeNA担当・大木 穂高)

 運営。DeNAにとって、この言葉ほど難しいものはない。08年に現役選手を引退。現職に就き3年目の西崎氏が苦笑いする。「よく言われますよ。“DeNAっていろんなことしてる。お客さんも入って凄い。でもその割に優勝できない”って」。

 98年の日本一から遠ざかること26年。球団関係者の「勝ちたい」と思う気持ちは、ファン以上のものだ。だが一方で、DeNAが貫く美学もある。それは、ファンに球場で喜んでもらうための「ボールパーク」を意識した運営だ。

 例えば昨季6月末の本拠地・中日3連戦。「ポケモンボールパーク ヨコハマ」を開催し、選手が「ピカチュウヘルメット」をかぶるなど球場がポケモン一色と化した。

 このとき西崎氏は「球団」と「選手会(現大貫会長、昨年は今永会長)」の相互理解を深め、両者が納得して3連戦に臨むための下地づくりを担った。「ここ数年、球団と選手会で月に1度、ミーティングを重ねています。球団は、ファンの方を増やすためのサービスを提案します。でも選手会とウィンウィンにならないといけない。選手のパフォーマンスを落とさない上で、どうイベントを進めるか。賛否両論でますよ。でも、話し合って前を向いていかないといけない」と力説する。

 現在同部署は約20名が在籍。1、2軍マネジャーらも所属する。「飛行機チケットの手配、宿泊先の部屋割り…、ほかいろいろ。選手が問題なくスケジュールどおりに動けるような環境を整えることも重要な仕事」と明かした。

 だが経験豊富な人材がそろい、ひと通りのフロー(チーム運営)を現場に任せることはできる。だからこそ、西崎氏は選手会と良好な関係を深めることに意識を向ける。

 DeNAは昨季、本拠地開場以来の1試合最多観客動員も達成した。ファンにも「サービス」は受け入れられている。それも選手の理解があってこそ。その窓口となり、パイプ役を務めるために、西崎氏のプロ野球現役生活8年のキャリアはものを言っている。
 今でも西崎氏は選手とともにグラウンドで球を拾い、打撃投手を務めるなどして汗を流し、選手との「共存意識」を強めている。それも欠かせないミッションだ。

 DeNAは今後も「ボールパーク」の意識を強めていく。そしてその上で優勝を狙う。一貫している。だからこそ西崎氏は「選手たちと一体となり“進化”したい」と力を込める。DeNAの運営部長。それは、コミュニケーション力、表現力、多岐にわたる「人間味」がものを言うレアポジションと言える。

 ◆西崎 伸洋(にしざき・のぶひろ) 1982年(昭57)4月8日福岡県糸島市出身の41歳。糸島高校では捕手で高校通算55本塁打も、甲子園出場はなし。強肩、スイングスピードを評価され00年ドラフト6位で横浜(現DeNA)に入団した。1軍出場は通算12試合で08年に現役を引退。その後、1軍サブマネジャー、2軍ファームマネジャー、1軍運営部GL課長兼マネジャーなどを歴任し、21年11月から同職に就いた。

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