WBCあなたが選ぶ名場面は?“漫画みたい”優勝場面ぶっちぎりと思いきや…

[ 2023年3月27日 05:05 ]

<日・米>9回、トラウトに投げ込む大谷(撮影・光山 貴大)
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 スポニチでは侍ジャパンのWBC優勝を受け、1800人を対象に「あなたが選ぶ名場面」のアンケートを23日から実施した。最多の372票を得たのは、やはり米国との決勝で9回2死から訪れた「大谷VSトラウト」。漫画みたいな結末、と称されたシーンだ。大谷がエンゼルスの同僚を空振り三振に仕留めて14年ぶりの優勝を決めた場面は、瞬間最高視聴率46・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 実は、この1位はぶっちぎりではなく僅差。5票及ばず2位だったのが、メキシコとの準決勝で9回に村上が放った逆転サヨナラ二塁打だ。また、この試合で吉田が7回に放った同点3ランが3位に。大谷が9回先頭でヘルメットを脱ぎ捨てて二塁打を放ち、両手を大きく振ってナインを鼓舞した場面が4位に入った。10秒28の驚異的なスピードでサヨナラの生還を果たした代走・周東の走塁が5位と、メキシコ戦だけで2~5位を占めた。

 大リーグ公式サイトは歴代WBCの「ベストゲーム10傑」と題した特集記事で、イチローが延長10回に決勝打を放った09年の日本と韓国の決勝を上回る1位にこの試合を選んだのも、当然なのかもしれない。その記事では「(野球の)全ての要素を備えたシーソーゲームだった」と評された。次点の11位も「源田の1ミリ」と話題になったメキシコ戦での間一髪の好守備だった。

 自由回答だった「その他」にも米国戦、メキシコ戦に関連するものが数多くあった。「あれがあったから大谷が三振を取って終われた」と米国の1番打者・ベッツから奪った併殺や、村上のサヨナラ打の前に四球で出塁した吉田が「おまえが決めろ」とばかりに指さした場面を挙げるファンもいた。

 試合以外では、円陣での大谷の「憧れるのをやめましょう」、牧の「後ろ(ベンチ)から行く人たち、もう準備できています」など各選手の声出しも票を得た。また、佐々木朗がチェコ戦で死球を与えた選手へ翌日にお菓子のプレゼント、イタリア戦後のお立ち台での岡本和の「最高です!」なども挙がった。

 【アンケート総評】スポニチ読者によるランキングに共感できた。1位の大谷VSトラウト。WBCでしかあり得ない夢対決が決勝、しかも最後の場面で実現した。戦っている選手たちでさえ「漫画みたいだった」と魅了されたのだから最高のエンディングだった。

 振り返れば、中国との開幕戦の視聴率が40%を超えて驚いた。正直な話、野球人気が復活している印象はなかった。コロナ禍を経て6年ぶりに開催された待望の「世界一決定戦」というだけではない。メジャーでもスーパースターに上り詰めた大谷の存在がどれほど大きいか。日本サッカー協会の田嶋幸三会長が「野球にはエムバペ、メッシクラスがいる」と述べた感想が言い表している。世界的スポーツのサッカーとは比較しづらいが、野球は国民的スポーツ。世界一を狙える実力があり、絶対的カリスマがいる。かつて、国民が長嶋茂雄に熱狂していた時代とも重なった。

 特筆すべきは、2位から5位までが全て準決勝のメキシコ戦だったことだ。不振を極めた村上が逆転サヨナラ打を放つ感動的なラストシーン。大谷のヘルメットを脱ぎ捨てる激走など、劣勢をはね返すまでのドラマもあった。日本人がなぜ、甲子園で戦う高校球児が好きなのか。最後まで諦めない姿に感動するからだ。準決勝にはそれが凝縮されていた。(スポーツ部野球担当部長・飯塚 荒太)

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