パドレス・ダルビッシュ シャーザーに投げ勝ち9勝目 電子書籍で大谷らのスプリット参考に9三振中6つ

[ 2022年7月24日 02:30 ]

ナ・リーグ   パドレス4-1メッツ ( 2022年7月22日    ニューヨーク )

<メッツ・パドレス>9勝目を挙げたダルビッシュ(AP)
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 パドレスのダルビッシュ有投手(35)が22日(日本時間23日)、敵地ニューヨークでのメッツ戦に先発し、7回を投げて4安打1失点(自責点1)1四球、9奪三振だった。チームは4―1で勝ち、後半戦の初戦を飾ったダルビッシュは今季9勝目(4敗)を挙げている。

 後半戦の“開幕投手”を任された信頼に応える投球だった。初回2死から10打者を連続にアウトを取り、3回1死からニド、ニモ、マルテ、リンドアを4連続三振に仕留めるなど快調なピッチング。7回に1点を失ったものの、ナ・リーグ東地区で首位を走るメッツに連打を許さず、「対戦を楽しみにしていた。学ぶところがたくさんある」というメッツのエース、マックス・シャーザー(6回5安打2失点)に見事に投げ勝った。

 目立ったのが打者の手元で鋭く落ちるスプリット。「今日は使いたかった」というスプリットをこの日は全99球中14球も投じ、9三振中6つ、最初の5つの三振をすべて奪うなど、ほとんど無双の決め球となった。

 試合後、今季は平均7%しか使っていないスプリットを後半戦の初戦で多投した理由を問われ、ダルビッシュは意外なエピソードを披露している。 

 「昨日たまたま、アマゾンでキンドルの本を買っている時に、佐々木朗希選手が表紙の週刊ベースボールがあって、それが落ちる球の特集だったんですよ。これは今、自分には必要だなと思って買いました。大谷選手の記事、佐々木投手のフォークの話、山本由伸投手の話、岩隈さんのレクチャーの記事とかあって、すごく参考になりました。それで今日、良かったんだと思います」

 35歳になっても常に何かを学ぼうとする姿勢は変わらない。これで3戦連続、直近の9戦中7戦で7イニング以上と安定感は抜群。サイ・ヤング賞3度の大投手、シャーザーに「今日は投げ負けた。ダルビッシュを褒めなければいけない」に言わせる投球ができるのは、年齢的には大きく下の投手も参考にできる謙虚さ、貪欲さがあればこそだ。

 そんなダルビッシュも、来春に開催されるWBCについて聞かれた際は「僕はいいでしょう」と慎重だった。「今は先発陣、すごいピッチャーがいる。みんなすごい自信を持っているし、メンタル的にもいい選手がいっぱいいる。自分が行ってもたぶん足を引っ張るだけ。栗山さん(栗山英樹監督)もたぶん僕のことは必要じゃないでしょう」とジョーク交じりに謙遜しつつ、後輩たちへの期待感を語った。

 とはいえ、「いい思い出がたくさんあるので、いつかまた出たいと言う気持ちはあります」と侍ジャパンへの熱い思いは完全には消えてはいない様子。本人の言葉とは裏腹に、その経験と知識、投球術は日本の財産になることは明白だ。「今年はいい後半戦にしたい」と意気込みダルビッシュが今後もこの日のような投球を続ければ、2009年以来となるWBC出場への待望論が増え続けることは間違いない。(杉浦大介通信員)

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2022年7月24日のニュース