カブス・誠也 米国初安打が豪快弾!お待たせ11打席目 打席途中でフォーム変更決断

[ 2022年4月1日 02:30 ]

オープン戦   カブス8―5マリナーズ ( 2022年3月30日    メサ )

4回、2ランを放ちマドリガルに迎えられるカブス・鈴木(AP)
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 カブス・鈴木誠也外野手(27)が30日(日本時間31日)、マリナーズ戦に「2番・右翼」で出場し4回に中越えに“米国1号”。直前まで左足を上げていたフォームをすり足に変え、オープン戦11打席目の初安打が豪快弾となった。日本時代と同様に打席途中に大胆な決断を下して相手投手に対応。5年総額100億円超の大型契約を結んでファンの注目を集める中、4月7日(同8日)の開幕へ向け調子を上げてきた。

 抜けるような青い空に、鈴木が白い軌跡を描いた。将来は「打撃コーチをやりたい」というのが秘めたる夢。自身の打撃フォームに関しても固定観念は持たない。柔軟にして大胆な決断。それが待望の一発を生み出した。

 4回2死一塁の第3打席。昨季まで3年連続開幕投手で、通算51勝左腕ゴンザレスの87マイル(約140キロ)の直球を強振した。「こすった」という打球は高い弾道ながら中堅左に達する1号2ラン。オープン戦11打席目の初安打が一発となった。

 直前まで10打席で無安打、5三振。4回は初球のチェンジアップを空振りし、2球目のボール球を見送った時に決断した。これまで全て左足を上げていたがノーステップのすり足に変更。「タイミングが合っていないのに同じことをずっとやっていても無理」と変化を恐れなかった。直後の3球目で快音。「合っていないな、と思えばすぐ変える。日本でも外国人投手にはそういう打ち方をやった。確率の高い方を選んだ方がいい」と語った。

 メジャー1年目の日本打者は、いかにタイミングを合わせるかがテーマだ。マリナーズ・イチローは振り子打法の上げ幅を半分以下にし、エンゼルス・大谷もすり足に変更。全ては投手の短い間合い、手元で動くボールなどに適応するためだ。打撃フォームで省く作業が求められる中、日本での9年間で打率.315、182本塁打、562打点を記録した男は、異国でも柔軟な対応力を披露した。

 メジャー1年目ながらカ軍と超大型契約を結び、熱狂的なファンの注目度もアップ。移籍交渉も一時中断した労使対立の影響で入団が遅れ、オープン戦初出場も25日だった。開幕までの打席数が限られる中でファンを納得させる結果も必要。「打たないと周りからゴチャゴチャ言われるので」と冗談で笑わせたが「僕も応援していて、打てなかったらヤジってる。気持ちは分かるので、それでストレス発散できればいいんじゃないですか」とファン心理に理解も示す。

 入団会見で「ここで一番の選手になりたいという思いで日本でずっと取り組んできた」と夢を語っていた鈴木は「試合勘は慣れてきた。問題ないです」と前を向いた。苦しむ中で見えた光が、未来への道を照らしている。(笹田 幸嗣通信員)

 ≪日本野手最速はゴジラのOP戦デビュー戦≫鈴木はオープン戦4試合、11打席目での初アーチ。過去の日本野手で最も早く一発を放ったのは03年の松井秀喜(ヤンキース)で、オープン戦デビューだった2月27日のレッズ戦の3回2死一塁で2ランを放った。最も遅かったのは01年のイチロー(マリナーズ)で14試合、50打席目。現日本ハム監督の新庄剛志(メッツ)は17試合、48打席目だった。

 ≪記念球ゲットで大喜び≫中堅左のスタンドで鈴木の「米国1号」をゲットしたのはシカゴ育ちでアリゾナ在住のブライン・クラウゼンさん(25)。「打球を見ていなくて気付いたら頭に当たりそうだった。とっさによけて手に入れることができたよ」と大喜びで「(鈴木は)カブスで最高のプレーヤーになることを願っている。シーズン中も機会があれば見にきたいね」と期待する。記念球を届けた鈴木からはお礼にサインボールをもらい、記念撮影にも納まり感激の様子だった。

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