黒田 日米200勝王手 今季初安打で自ら3打点 チームは32年ぶり11連勝

[ 2016年6月30日 05:30 ]

<広・ヤ>初回、先頭打者・大引のバットをへし折り遊ゴロに打ち取る黒田

セ・リーグ 広島8―1ヤクルト

(6月29日 マツダ)
 投げても、打っても黒田!首位・広島は29日、ヤクルトに快勝し、最後に日本一になった84年以来、32年ぶりの11連勝を達成した。中11日で先発した黒田博樹投手(41)は7回を3安打1失点と好投すれば、バットでも6回2死満塁から走者一掃の適時二塁打。日米通じて自己最多の1試合3打点を叩きだした。今季6勝、日米通算199勝目で偉業に王手。25年ぶりのリーグ優勝へ、男気・黒田がチームの勢いをさらに加速させる。

 偉業に王手をかける日米通算199勝目を確実にしたのは、自らのバットで叩きだした3点だった。4―1の6回だ。石原敬遠後の2死満塁。ここで成瀬の初球、134キロの真ん中低め直球を振り抜くと、打球は前進守備を敷く左翼・バレンティンの頭上を越えた。

 「初球しかチャンスはないと思ったので“1、2の3”で行ったら、振ったところに来た。もう二度とないと思う」

 黒田が冗談めかすのも当然だ。直前まで今季は26打席で24打数無安打。昨年8月4日の阪神戦(マツダ)以来、実に51打席ぶりの安打は、ダメ押しの走者一掃適時二塁打となった。1試合に複数打点を挙げるのは日米通じて初。「ずっと(打率)ゼロが並んでいたので気になっていた」と少し恥ずかしそうに笑った。

 本業でも久々に本領を発揮した。先発ローテーション再編に伴い、首脳陣は黒田に休養を取らせようと、17日のオリックス戦(マツダ)後に登録を抹消。12日ぶりのマウンドでは切れ味鋭い変化球を縦横無尽に操った。

 「(登板)間隔が空いたので、いい状態でマウンドに上がれた。飛ばしていくことができた」

 霧雨が舞う悪コンディションを感じさせない快テンポの投球。2回、先頭・山田にソロを被弾した以外は二塁すら踏ませなかった。先頭・山田に四球を与えた7回1死一塁では、バレンティンを宝刀のツーシームで遊ゴロ併殺に打ち取り、救援陣に後を託した。

 「黒田に尽きる。ナイスピッチング。打席でも自らを勝ちに導く打撃をしてくれた」。緒方監督は投打に活躍した41歳を絶賛した。コンディション次第だが、偉業を懸けた次回登板は現状では7月6日、北陸・金沢での中日戦となる予定だ。

 「200勝は通過点にしないといけない。(感慨に)浸っている時間はないと思う。201、202勝にしていかないとチームは上にいけない」

 チームは日本一に輝いた84年以来、32年ぶりの11連勝。30日のヤクルト戦で球団記録の12連勝に挑む。快進撃が続く赤ヘル。その中心には個人の成績よりチーム優先の黒田がいる。 (江尾 卓也)

 ▽84年の広島 就任10年目の古葉監督の下、開幕から首位を快走。球宴直前に中日に逆転され2位転落も9月5日に首位を奪うと、10月4日、山本浩の逆転3ランで大洋を3―2と下し4度目の優勝を決めた。野手陣は9月に2戦連続サヨナラ弾の長嶋、新人王・小早川らの若手と、打点王でMVPの衣笠らベテランがそろって活躍。最優秀防御率の小林誠ら投手陣も奮闘した。阪急との日本シリーズも4勝3敗でV。3度目の日本一に輝き、長嶋がMVPに選ばれた。

 ≪66年ぶり2人目≫黒田(広)が6回に今季初安打となる満塁走者一掃の適時二塁打。黒田は日本通算18打点(米通算3打点)で、1試合複数打点は日米を通じて初めてになった。黒田は今季41歳。シーズン41歳以上の投手が1試合3打点は50年7月26日大映戦の若林(毎日=42歳)、06年8月12日阪神戦の山本昌(中)に次ぎ3人目の最多タイ。1打席で3打点は、若林が4回無死満塁で右中間二塁打して以来66年ぶり2人目。

続きを表示

この記事のフォト

2016年6月30日のニュース