由規復活か!?07年・高校生BIG3の現在地

[ 2016年6月30日 08:30 ]

ヤクルトの由規

 「◯◯三羽ガラス」、「◯◯BIG3」、「◯◯四天王」。これらは、毎年のようにドラフト候補につけられるキャッチフレーズだ。しかし、プロ入り後、キャッチフレーズ通りに全員が活躍することは数えるほど。

 だが、今から9年前にあたる2007年のドラフト会議の時に「高校生BIG3」と呼ばれた3人は、近年で最も輝きを放ってきたのではないだろうか。その「高校生BIG3」とは唐川侑己(ロッテ)、中田翔(日本ハム)、佐藤由規(現登録名は由規/ヤクルト)。彼らの現在地を確かめてみたい。

◎早熟とは言わせない! 唐川侑己

 「高校BIG3」の中で一番早く実績を残したのが唐川侑己(ロッテ)だった。1年目の2008年4月に先発登板。プロ初登板で初先発初勝利、さらに勝ち星は“平成生まれの初勝利”というおまけつきもあり、上々のスタートを切った。順調にキャリアを積むと、2011年に初の2ケタ勝利を挙げ、2012年は途中離脱ながら8勝2敗。順風満帆にみえ、このままロッテのエースになるのか!? と思われた矢先に、球速の低下が顕著となり、成績も下降してしまう。

 今シーズンはゴールデンウイーク明けにローテーションに入ったものの、よい結果を残せず、今はローテーションの当落線上にいる。年下の関谷亮太、二木康太には負けられない。

◎侍ジャパンの主砲へ! 中田翔

 中田翔は、唐川と由規の2人に比べると、打者ということもあり、時間をかけて成長してきた。2軍でじっくり体を作って成績を残し、1軍昇格後は控えからレギュラーへ。そして、打順を少しずつ上げ、4番打者へ成長したように、チームの描いた育成ロードマップにしっかりと乗ることができた。現在は“侍ジャパンの主砲”という重責も果たしている。スタートは遅かったが、現在のところ最も輝いているのは中田で異論はないだろう。

 やんちゃ坊主で強面の中田ではあるが、情に厚いことでも有名だ。先ごろ、北海道の山中で起きた少年の行方不明事件では、日本ハムファンのその少年が無事に保護されたことを、我がことのように喜んでいたのは記憶に新しい。

 また、昨年の交流戦でのライバル宣言では、故障で1軍登板のない由規に「早く投げられるようになってほしい」と気遣いをみせた。

 中田対由規。高校時代からしのぎを削ったライバル対決が再び叶うことを期待したい。

◎復活の日まであと少し、もう少し! 由規

 仙台育英時代には甲子園最速の155キロ、そして161キロの日本人最速を計測したのも今は昔。由規は2011年9月3日から1軍での登板がない。右肩の故障で手術を繰り返し、2016年は育成契約となってしまう。支配下登録を勝ち取るために奮闘している今シーズンは順調だ。中10日以上の間隔でローテーションを守り5回、6回を投げている。

 6月22日には、イースタン・リーグの巨人戦に先発。真中満監督、小川淳司シニア・ディレクターが見守るなか、由規は初回、2回とパーフェクトピッチングをみせ、最速は151キロをマークした。味方のエラーから2失点したものの、終わってみれば、5回を2失点(自責0)、8奪三振、2四球。98球でまとめた。

 なかでも、2回裏に146キロのストレートをアウトローに投げ込み、見逃し三振に奪ったボールは圧巻だった。ヤクルトの先発投手でそこまでの球を投げる選手がいるのだろうか? としばし考えてしまった。

この好投を受け、試合後に由規の支配下登録が正式に決まった。小川SDから直接言い渡すところからも、球団の期待の大きさがうかがえる。次回登板は7月3日の2軍戦を予定していたが、小川泰弘の登録抹消により、7月9日の中日戦で先発する可能性が高まった。天気と日程とにらめっこ状態ではあるものの、もし、この日に登板できれば、1771日ぶりの1軍マウンドになるという。

 昨シーズンは館山昌平が度重なる手術からの復活。ファンの涙を誘い、チームを優勝に導いた。今シーズン、その役目を担うのは由規以外にはいない。

 彼ら「高校生BIG3」の輝いている時期が、それぞれに違うのは運命なのだろうか。願わくは、3人が同時期に輝き、対戦する姿を見てみたいものだ。(『週刊野球太郎』編集部)

続きを表示

2016年6月30日のニュース