コリジョン異例見直しの背景…新基準は「衝突の有無」重要視

[ 2016年6月30日 07:55 ]

5月11日の阪神―巨人戦、3回2死二塁、脇谷の中前打で二塁走者・小林誠がホームを突きタッチアウトの判定も、リプレー検証後にセーフになった

 本塁での危険な接触を防ぐために今季から導入された「コリジョン(衝突)ルール」について、日本野球機構(NPB)が運用基準の見直しを検討していることが29日、分かった。新基準では、実際に衝突が起きたかどうかを判断基準とする。7月4日のプロ野球実行委員会で議論し、早ければ同18日の後半戦開幕からの見直しを目指す。

 シーズン途中に運用を見直す背景には、判定を不服とした球団からNPBに意見書や質問書が提出される事態が相次いだことがある。5月11日の阪神―巨人戦(甲子園)では、阪神・原口捕手が走路に入ったとされ、判定がセーフに覆ったが「審判員の間でも意見が分かれた」(NPB関係者)という。優勝がかかったシーズン後半やポストシーズンに向け「このままでは、どう判定しても疑義が生じる」との声も出ていた。

 NPBは検討材料として、コリジョンルールによるリプレー検証を行った今季全11件をDVDにまとめ、各球団やプロ野球選手会に送った。関係者によると、アウト判定からセーフに覆った4件のうち、新基準では3件は適用外になるという。

 シーズン途中の見直しには、現場から賛否の意見がある。同ルール適用によるサヨナラ負けを喫した西武の田辺監督は「捕手の動きを見て、しっかりとした判断をしてもらいたい。(見直しは)当然」と話す。一方で、捕手出身のロッテ・伊東監督は「一年間貫き通すことが大事。コロコロ変えてしまうと対応できない」。ある選手は「一度決めたものを変更すれば、戸惑う部分は絶対にある。見直すなら選手会とNPBがしっかりと話し合って、来季から新ルールでやった方がいい」と否定的な考えを語った。

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