阿部 恩師“原超え”1094打点 球団歴代単独4位「辞めたら気にするよ」

[ 2016年6月30日 07:15 ]

<巨・中>5回2死一、二塁、適時二塁打を放つ巨人・阿部

セ・リーグ 巨人3―2中日

(6月29日 東京D)
 グッと左腕を押し込んだ。1点を追う5回2死一、二塁。巨人・阿部が内角高めに抜けたスライダーを強振した。

 「ボール気味だったが、うまく反応して打ち返すことができた」

 右翼線への同点二塁打は球団歴代単独4位の通算1094打点目となった。7回2死一、二塁では二塁内野安打。村田の決勝の押し出し四球を演出し、東京ドームの中日戦今季初勝利へ導いた。

 19日のロッテ戦(東京ドーム)で原辰徳前監督に並ぶ通算1093打点としてから5試合目の恩師超えだった。14年オフ。秋季練習前日に当時の指揮官からメールが届いた。「来年のことで2人だけの世界で話し合おう」。その直後のもう一通は「一塁におまえの未来がある」――。満身創痍(そうい)の選手生命に対する心遣いだった。

 その道筋を一大決心で断ち、捕手完全復帰を目指した今季。コンディションが整わず一塁での出場が続くが、向上心は失っていない。3日の日本ハム戦(同)の試合前からソフトボールを使ったティー打撃を継続している。「打感の違いですね」。硬球より柔らかく大きい球を打つことでバットに長く乗せて“押し込む”感覚を確認した。

 7月29日公開のゴジラ映画最新作「シン・ゴジラ」とのコラボゲーム。試合前の選手紹介では各選手がゴジラの顔まねとともに登場し、阿部の表情は迫力満点だった。メモリアルな一打も通過点で「辞めたら(数字は)気にするよ」と素っ気ない。チームの復調へ、背負うものはまだたくさんある。 (春川 英樹)

続きを表示

この記事のフォト

2016年6月30日のニュース