筋トレ効果を数値で測る「1RM法」とは。測定方法をチェック

[ 2023年6月3日 12:00 ]

 筋トレのメニューを組むとき「1RM(1 repetition maximum)」という言葉がよく出てきます。1RMとは、正しいフォームで1回だけ挙げることができる最大重量のこと。重量を使った筋トレを行う際にもっとも重要な基準値といえるでしょう。

 仮に1RMの80%で5回5セットを行うメニューがあったとして、狙った通りのトレーニング効果を目指すなら、自分の1RMの正確な値を知る必要があります。さらに1RMを定期的に測定することで、自分の成長度やトレーニング効果を客観的に把握することができます。

 ところが自己流で筋トレを行っている人の多くは、自分の1RMを測定していない、あるいはそもそも測定方法を知らないようです。ここでは筋トレのレベルや環境に応じて、1RMの測定方法をいくつかご紹介します。

筋トレ初心者向けの1RM測定方法

フリーウェイトで1RMを推測する

 1RMを測定するには最大の力を使います。筋肉だけではなく関節にも強い負担がかかるほか、血圧も急上昇するでしょう。そのため、筋トレを始めたばかりの人にはハードルが高すぎるかもしれません。

 その場合、複数回繰り返して挙げることができる、比較的軽めの重量から1RMを推測する方法をおすすめします。たとえば10回挙げることができる最大重量が75キロであれば、下の関係表を使用して計算すると1RMは100キロということになります。

▲表は筆者作成

 上の表はあくまで計算上の推測値ですが、1RMの目安にはなるはずです。

マシンを使って1RMは測定できる?

 本来なら1RMは、バーベルやダンベルなどのフリーウェイト種目でないと指標になりえません。たとえばラットプルやチェストプレスなどで1回だけ挙げられる重量を測ったとしても、その値は他人と比較することができないのです。

 なぜなら、マシンの種類によっては動作を助けるものがありますし、ケーブルやレールの摩耗具合などによって数値が変わる可能性もあるからです。

筋トレ中~上級者向けの1RM測定方法

フリーウェイト種目で1RMを把握する際の注意点

 フリーウェイト種目で正式な1RMを測定する場合は、そこに至るまでの準備が非常に大切です。いきなり最大重量に挑むわけにはいきませんので、ウォーミングアップのためのセットをどのように組むかが課題になります。その人の経験やコンディションによって、最適なセット数は変わってくるでしょう。そのため、一概に何回を何セットと決めることはできません。

 初めて1RMを測定する場合は推測値を基準にし、以前に測定したことがある場合は過去の値を基準にして、自分が最大の力を発揮できる状態を作っていきます。下記はあくまで一例ですが、参考にしてみてください。

ウォーミングアップ・セット例

過去の1RMの25%を10回
過去の1RMの50%を10回
過去の1RMの75%を3回
過去の1RMの85%を1回
過去の1RMの90%を1回
過去の1RMの93%を1回

 本番セットでは過去の1RMと同じか少しだけ重い重量を試してみて、成功したら小刻みに増やしていくのが一般的な方法です。もっとも、何回か繰り返しているうちに筋肉が疲労してしまえば、本来の力は出なくなります。これも種目や人によりますが、一般的には本番セットは2~3回が限度ではないでしょうか。

自分の限界の重量を知ることが筋肥大の近道

 このように、1RMを測定するには、経験から導かれたテクニックが必要になります。しかしいずれにしても、守るべきルールは必ず正しいフォームで動作を行うことです。反動を使うチーティングは1RM測定には不適切ですし、ケガの可能性も高まります。

 クロスフィットではバックスクワットとショルダープレス、デッドリフトの3種目の1RMを1日で測定し、合計重量を測定するワークアウトがあります。これは、「クロスフィット・トータル」と呼ばれているものです。

 競技として行われることもありますが、ジムで行う場合は、あくまで自分の成長度を把握するためのベンチマーク的なワークアウトとなります。

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
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<Text:角谷剛/Photo:Getty Images>

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